床鳴りさせない!土台敷き作業【プロの大工用】プレカット木造新築工事

絶対に床鳴りさせない土台敷き作業について

今回は木造住宅の新築工事の土台敷についてです。

皆さんは「自分の行った工事では絶対に床なりしない」という自信はありますか?
もし自信がなければ手間請けを行うたびに床鳴りクレームの恐怖が生まれます。

しかも土台敷の作業は建前日が決まっていることもあり決まった時間の中で行わなければいけない制限もあります。

とはいえシンプルな作業なので床なり対策も難しいことではありません。
抑えるべきポイントを整理しました。

また少し材料や道具が重いこともあり体力のいる作業ですが、材料の動かし方ひとつで無駄な材料移動が減って楽に作業を終えることができます。

ということで今回は絶対に床鳴りさせない楽な土台敷き作業のコツを流れに沿ってまとめました。

※かなり長いページなので目次をご活用ください。

目次

作成者プロフィール

説明用動画

墨出しについて
・墨出しとは
・準備(ボルトの垂直なおし)
・墨出しの方法
・墨出しの確認について

ボルトの墨付けについて
・墨付け準備(配り)
・墨付けの姿勢(ひざ固定)
・墨付けの手順

穴掘りについて
・座彫りナットについて
・錐(きり)について
・穴あけのスキル

敷き込み作業について
・敷き込み準備(掃除)
・基礎パッキンの設置
・土台の敷き込み
・アンカーボルトの締め付け

大引き・床束入れについて
・大引き入れの準備(配り)
・鋼製束の固定(ビスどめ)
・大引きの固定について
・大入れ根太(小ササラ)の固定
・根太受け(合板受け材)の固定
・束とスラブの固定
・束の高さ調整について

床合板張りについて
・床下断熱材について
・床合板同士の突き付けについて
・床合板の釘打ちについて
・サネ付きタイプの注意点

土台敷きのポイントまとめ
・床鳴り対策まとめ
・水平精度について
・雨対策について
・土台敷き作業でのスピードアップのコツ
・旧床構造について

最後に

新築工事作業の流れや目的をまとめたページはこちら
大工マニュアルのトップページはこちら

記事の作成者

深田健太朗深田健太朗 京都府出身 1985年生
一級大工技能士や二級建築士、宅建士など住宅に関連する国家資格を5つ持つ大工です。
人生で最も高価な買い物である住宅に関わることに魅力を感じて大工職を志しました。
大工職人減少は日本在住の全ての方に関わる重大な問題だと考え大工育成のための教科書作りや無料講習を行っています。

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説明用動画

このページの説明用動画です。
文字で伝えにくい部分は、映像で詳しく説明しています。

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墨出しについて

基礎と土台の解説

土台敷きは新築工事(プレカットを使用する場合)で1番はじめに行う作業です。
その中でも墨出しは土台敷の中でも最初に行う作業です。

・墨出しとは

墨出しは木造部(家)をどの位置に配置するかを設定する作業です。
全体の矩(直角)を出し、基礎の上に土台の位置墨を出します。

・準備(ボルトの垂直なおし)

墨出しの前にまずは土台を固定するアンカーボルトやホールダウンボルトを垂直に直します。
ボルトは数が多いのでこの時点でまとめて直しておきます。

ボルトを直す方法

ボルトを金槌で叩いて直す場合はネジが潰れないようにネジがない下部分を叩きます。
木製のカケヤであればネジが潰れることがないので上部を叩いても大丈夫です。

鉄パイプなどをボルトにかぶせる用に差し込んで直す方法もあります。

確認方法

ボルトの垂直の確認はX軸とY軸(正面からと横から)で確認します。

ドリルでの穴掘りと同様で人間の目は左右の倒れは確認できますが、前後(手前と奥)の確認は正確にできません。

一定スペースにあるボルトをX軸についてまとめて直し、Y軸もまとめて直すようにすると見落としが減ります。

・墨出しの方法

位置決めについて

土台の位置は基礎全体から振り分けて設定しますが、家は四角いので矩方向についても確認することが理想です。

レーザーを使用した矩(直角)の墨出し

矩(家の直角)は古くからピタゴラスの定理を利用した3:4:5の寸法で求めていました。
最近ではレーザー墨出し機が普及して矩を出す方も増えています。

レーザー墨出し機は商品によってレーザーの数が異なりますが、できるだけ中心に近い位置に設置します。

X方向、Y方向共に基礎との調子を確認して基準となる墨を出します。

寸法の墨出し

土台は一本一本にボルト穴を開けるため全ての土台位置を出す必要があります。

プレカット土台の場合一般的に土台の面墨をつけますが、図面には芯の寸法が記されています。
3階建ての家は土台だけ4寸(120mm)材を使用することがあり、外部と内部で芯から面までの設定がバラバラになる場合があります。

そのような場合には寸法が複雑になるため、確認しやすくするために印は面と一緒に芯もつけておくことがおススメです。
※墨は片方(調子がいい方)に打ちます。

墨出しに使用するメジャー

墨出しにはカクロングというメジャーがおススメです。

KDS カクロング10巾20m

メジャーは0点が利用できるので寸法計算が楽になり、一軒分を一度で測り出すことができます。

※木造で使用する910㎜モジュールの印が付いています。

普段から持ち歩くコンベックスは、基礎の上などの平面では0点を正確に測ることができません。

道具箱で持ち運ぶ便利道具などを紹介したページはこちら

墨打ち

寸法を出した状態で墨壺で墨を打ちます。
基礎はコンクリートなのでカルコが差しにくいため二人での作業が理想です。

墨壺の使い方についてまとめたページはこちら

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ボルトの墨付けについて

アンカーボルトの墨付け手順

次は土台にアンカーボルトとホールダウンボルトの穴位置を写して墨を付けます。

・墨付け準備(配り)

土台の墨付けでは継ぎ手位置を基礎に写して次の土台の位置を決めます。
土台の搬入は一軒分が積み上げられているため、上から持ってきた土台はすぐに墨がつけられるとは限りません。

土台は比較的重たい材料なので無駄な持ち運びを減らします。

当然基礎の上は墨付けを行うので他の土台を置いておくと邪魔になります。
基礎の下や外、もしくは定位置にだけかかるように置くなど工夫します。

・墨付けの姿勢(ひざ固定)

土台の墨付けはアンカーボルトの位置を土台に写しますので、土台をアンカーボルトに押し当てて基礎の上に置きます。
アンカーボルトは基礎(土台)の中心部分にあるため手を離すと手前に転がり落ちます。

墨付けはサシガネと鉛筆を使用するので両手が必要です。
土台は膝(ひざ)を使ってアンカーボルト方向に押し当てるようにすると手を放しても固定できるので両手で墨付けを行います。

横移動の時には手で押さえて移動します。

※この方法で墨付けを行う場合には、外部に据える土台の墨(墨出しで出す墨)については外側につけている方が効率的です。

・墨付けの手順

膝で土台を固定している状態では土台の向こうにアンカーボルトが当たっていて、その奥(基礎の上)に土台墨が付いている状態です。

墨付け手順1・アンカーボルトの縦ラインを土台に写す

土台に当たっているボルトの両側面を土台に直接写します。
※ドリルで穴を掘る際の見通し線なので、位置よりも正確な角度を写します。

墨付け手順2・アンカーボルトの位置を測る

基礎上の土台墨からアンカーボルト根元の芯までの距離を測ります。

墨付け手順3・アンカーボルトの位置墨をつける

アンカーボルトの先から土台に直角に墨をつけます。
この時にはサシガネは土台に引っ掛けられないので長手外側を土台側面に合わせてつけます。
次に手順2で測ったボルトの墨からの距離を土台側面から測って写して縦墨を出します。

サシガネの使い方についてまとめたページはこちら

墨付け手順4・目立つ印をつける

ドリルでの穴掘りの際に掘り忘れないようにつけた墨に目立つ印をつけます。

桧など乾いた材にはマジックでつければよく見えます。
PG材(防腐剤注入材)はマジックが使えないので鉛筆の場合には手順3の墨に斜め線を加えます。

※墨差しは湿っていても使用できます。

墨差しの使い方や作り方についてまとめたページはこちら

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穴掘りについて

ドリル錐とシャープナー

アンカーボルトやホールダウンボルトを土台に貫通させるための穴を掘ります。

・座彫りナットについて

アンカーボルトには座彫りナットを使用します。
座彫りナットは座彫りができる座金が一体型になっているタイプで締め付けと同時に土台を削ることができます。

・錐(きり)について

24㎜のギムネ(木工錐)

大西工業 木工用ドリルロング 24.0mm

 

ホールダウンボルトは比較的太いため24㎜の錐で穴を掘ります。
座彫りナットは特殊な形のためベストを探すと特殊な形状の錐が必要ということになりますが、ホールダウンと同じ24㎜での穴でも締まるので結果的に両方24㎜の錐で穴を開けます。

錐(きり)は研いで使用する

木工錐は研いでから使用します。
切れない錐は押し込む力が必要になりまっすぐ掘りにくくなります。
当然切れる錐を使用する方がドリルの回転が速くなるので早く穴が掘れます。

SK11 六角軸 ダイヤモンドシャープナー #400/#1000 両面 50mm

インパクトドライバーで使用できる回転砥石です。

・穴あけのスキル

穴をまっすぐ掘るスキルは当然に必要です。

ドリルでまっすぐ掘るためには角度の見通しが必要です。
鑿や手ノコなどの手道具とも共通する技術ですので練習が必要です。

ドリルの使い方についてまとめたページはこちら

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敷き込み作業について

マキタのインパクトレンチ

・敷き込み準備(掃除)

穴あけ作業はなかなかのゴミが出ます。
今回ご紹介するような床合板を張る土台敷き作業では後で掃除ができなくなりますので、敷き込みの前にドリル屑や基礎コンクリートの石紛を除去します。

基礎の掃除はお客さんにとっては、引き渡し後に構造を確認できる数少ない個所となります。

構造に詳しくないお客さんは、大工さんの作業品質を理解できる部分で判断しようとします。
掃除の出来についてはお客さんでも簡単に判断できるため、不十分な掃除はお客さんに不安を与える材料となります。

掃除は綺麗であれば綺麗であるほどベストです。

掃除道具の使い方についてまとめたページはこちら

・基礎パッキンの設置

土台の下には基礎パッキンを設置します。

基礎パッキンの種類

基礎パッキンも様々なタイプがあります。

最近では土台下全面に設置するタイプも多くなりました。
※全面タイプも気密タイプや防鼠(通気)タイプなど様々です。

今回はオーソドックスなブロックタイプ(約100㎜×200㎜×20㎜)の使い方をご紹介します。

ブロック型パッキンの設置位置

ブロック型パッキンは900㎜ピッチで入れますが、柱や継ぎ手の下、そしてアンカーボルトの下には必ず設置が必要です。

大引きの大入れ仕口

決まりではないのですが、大引きの仕口(特に大入れの場合)は割れやすいため、設置することをおススメします。

・土台の敷き込み

基礎パッキンの上に土台を敷き込みます。
ホールダウンボルトのナットを外した場合には無くならないように戻しておきます。

・アンカーボルトの締め付け

アンカーボルトはインパクトレンチを使用して座彫りナットを土台の上面まで締め込みます。

締め付けのコツ

締め付けは4方の角部分から行います。
プレカット材も曲がりや伸縮でズレが発生している場合がありますので全体にバランスを取って固定します。

材の曲がりはカケヤで叩きながら締め付けると修正することができますが、基礎にも衝撃がかかるため割れないように加減が必要です。

桧材などの節について

座彫りナットはナット下部の座彫り加工で土台を削りながら締め込みますが、土台でもよく使用される桧材の節部は、非常に硬くうまく削れない場合があります。

座彫りナットは面までしまっていない状態では床合板を突き上げてしまうため、敷き込み前に節部だけ加工するなどの工夫が必要です。

アタッチメントの抜け止め

座彫りナットは各メーカーからたくさんの商品が販売されており、締め付けにはそれぞれに専用のアタッチメントが必要です。

メーカーによってはアタッチメントがインパクトレンチのソケットから簡単に抜けるタイプもあり、締め付け後に移動するたびにストレスを感じます。

そのような場合はナットなどがまとめられているビニールの袋をソケットとアタッチメントに挟むように差し込みます。

見た目はカッコ悪いのですがとても実用的なのでおススメです。

締め付けに使用する機械

アンカーボルトの締め付けにはインパクトレンチを使用します。

マキタ インパクトレンチ

よく使われる標準サイズのインパクトレンチです。

実は大工にとってインパクトレンチはアンカーボルトの締め付けだけにしか使用しない道具です。

アンカーボルトの締め付け作業は短時間で一軒分のボルトを全て締め付けるため、負荷によってモーター部分が熱くなります。
夏は炎天下の熱さも重なり機械はかなり無理をします。

また土台の締め付け作業は基礎の上を歩きながら下に向かって締め付ける作業なので持ち運びやすさ(軽い・小さい・コードレス)などの機能は必要ありません。

マキタ インパクトレンチ

大きいタイプ

これから購入される方には少し値段は高いですが、パワーに余裕のある出力の大きいタイプをお勧めします。

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大引き・床束入れについて

床なり対策に必要なウレタンボンドKU928C

土台の敷き込みが終わると大引き戸塚の取り付けを行います。
大引きは部屋の床部分(土台の間の基礎の無い部分)を支える構造材です。
床束は大引きを下から支え上げる部材で、近年は高さ調整が可能な鉄製の鋼製束を使用します。

・大引き入れの準備(配り)

大引きの下部には鋼製束をビス固定するため部屋ごとに下部を上に向けて並べます。

・鋼製束の固定(ビスどめ)

鋼製束は大引きにある仕口などをよけて900㎜ピッチで固定します。

鋼製束もメーカーによって若干形が違いますが、概ね大引きの固定部はL型になっており、固定穴が6個空いています。
ビスは大引きに付属されて6穴中4本で固定するタイプが多いです。

4本固定する場合には下部に空いている4本で固定する方が大引きと束が密着するためおススメです。

L型のタイプは左右順番に取り付けます。

ビスは大引に対して垂直に固定します。
ビスは横方向の振動に弱いため斜めに固定すると歩行による振動に耐えきれずに折れてしまいます。

ビスが付属されていない場合にはできるだけ太軸のビスを使用してください。

・大引きの固定について

床束が固定できると大引きを表に戻して土台の仕口に取り付けます。

大引きと土台の固定も床なりのリスクがある部分なので丁寧に施工します。

アリ仕口は打ち下げる

大引きと土台はアリになっています。

アリ仕口にはボンドは必要ありませんが大引きを確実に打ち下げるようにします。

釘について(90㎜)斜め打ち4本

固定に使用する釘は、90㎜スクリュー釘です。

上部からの斜め打ちとアリの抜け止めに横方向から固定します。
仕口の形状を理解して効く部分を狙い、45°で釘の頭が完全に入るように打ち込みます。

釘は木割れを起こすと意味がありませんので割れには十分注意します。
また、無駄な釘打ちは床なりのリスクになりえるため一本一本確実に固定しましょう。

回転(水平)のチェック

大引きは材料が小さいため回転の遊びがある場合があります。

大引き上部は直接床合板の下地となるため水平に収まっていないと床面の精度が狂います。

金槌で調整してから釘で固定します。

※ピン工法は特に回転の遊びが多いため要注意です。

打ち忘れのチェック

大引きの固定が完了したら全ての大引きの固定釘をチェックしてください。

釘の打ち忘れは100%床鳴りしますが、この後すぐに床合板を張りますのでチェックできなくなります。

釘を打ち忘れる人はプロの大工とは言えません。
チェックは技術や知識に関係なく誰でもできますので絶対に行ってください。

・大入れ根太(小ササラ)の固定

大引きの間に900㎜ピッチで部材を入れる場合があります。

サイズは90㎜角や45㎜×90㎜など様々ですが、大入れ仕口の場合が多い部材です。

ウレタンボンド

床下の大入れ仕口は、部材収縮によって遊びが生まれて床鳴りを起こしますので絶対にウレタンボンドを塗ります。

ボンド 床職人KU928C-Xアプリパック 600ml

もっとも使いやすいウレタンボンドです。

ウレタンボンドは少しで大丈夫です。
大入れ仕口の下に塗ってから部材を取り付けます。

高さ調整

仕口を収めると部材天端が合わない場合がありますが、ウレタンボンドを塗っていれば高さ調整も行っても大丈夫です。

アリの大引きも高さを調整する場合にはウレタンボンドを塗ってください。
ボンドなしで仕口を浮かすと床鳴りします。

・根太受け(合板受け材)の固定

室内で床のレベルが変わる場合には、部分的に床を下げる場合があります。

大引きなどは仕口で調整できますが、土台際には合板を固定する下地が必要です。
大引きを加工する場合もありますが、大引きに部材を打ち付けて合板下地にする場合には支えがないため固定方法に注意が必要です。

根太受けのサイズ

ここに固定する材は間柱材や根太材が使用されます。

高さ合わせについて

根太受けなど床の高さは昔から水平墨を打って行うことが一般的でした。

しかし、新築の場合は土台からの下がり寸法を正確に合わせることを優先します。

端材を利用して下がり寸法のパッキンを作製し、指の感覚で合わせて高さを合わせます。

※リフォームではこのような方法は行いません。

突き付け部(根太受けの木口)

根太受けなどの床に組む材料がすれる部分は、全てウレタンボンドと釘を併用して固定します。

特に材料の木口部分は仕口に当たっていることもあり、床鳴りが発生しやすい部分となるためウレタンボンドを塗って固定します。

ボンドを塗る量の基本は鉛筆一本分くらいですが、状況に応じて加減します。
取り付ける材料に塗るとはみ出しやすいので基本的には母材に塗ります。

釘打ちについて

釘打ちを行う場合には打つ材料の割れやすさを考慮して長さや太さを調整します。

床組に多く使用される桧材や赤松材は共に比較的固く、割れやすい特徴があります。

木材は繊維方向に釘を並べて打つと割れやすいので繊維を選んでランダムに打ちます。
材料の節部分は曲がりやすいですが割れにくいなど木材の知識を持つことも床なり対策につながります。

・束とスラブの固定

鋼製束を固定した大引きを土台に取り付けると鋼製束の下端板が浮いている状態になります。

鋼製束とコンクリート床スラブの固定にもウレタンボンドを使用します。
1本の鋼製束の固定に使用するウレタンボンドの量の基準はピンポン玉(卓球の玉)1つ分です。

鋼製束とスラブはウレタンボンドのみで固定する部分ですので絶対に外れないように丁寧に作業を行います。

※雨上がりの土台敷作業ではスラブが濡れているためボンドの接着が不十分になることがあります。

・束の高さ調整について

高さは水糸

大引きの高さは水糸で確認し、鋼製束のボルトを回して調整します。

高さの確認は部屋ごとに行い、大引きに対して直行方向に水糸を張り、大引き中心部の高さを確認します。

水糸など水平垂直を測る道具の使い方についてまとめたページはこちら

大引きの曲がり

鋼製束は引っ張ることができないため、大引きの中心以外の高さは大引きの曲がりに依存します。
中心の束とそれ以外の束のボルトの効き具合(突き上げ負荷)を合わせるように調整します。

最終的に固定ナットを締め付けて固定します。

※もともと大引きは束で突き上げるので張り下がりで使用する部材なので、プレカットでも一般的には張り下がりで作られています。

・大引きの継ぎ手について

大引きの継ぎ手(カマ継)は非常に床鳴りする部分なので、ウレタンボンドで固定してください。

作成者も実際に床なり個所を確認したことがありますが、大引きは天気で大きく伸縮するようで継ぎ手部分は想像以上の音が鳴ります。

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床合板張りについて

床合板固定に使用する90㎜の釘打ち機

断熱材の敷き込みを行って床合板を張ります。

・床下断熱材について

大引きまでの固定が完了すると床下断熱を取り付けます。

床下断熱は会社ごとの仕様によって様々なタイプがあり、全く施工方法も異なるため会社の施工マニュアルに沿って施工してください。

断熱材の特徴や使い方についてまとめたページはこちら

・床合板とは

床の下地はもともと大引きの上に根太を流して床板を張っていました。
また、近年のフローリングは下張り専用タイプ(下地となる面材の上に二重張りするタイプ)が多くなっています。

床合板は24㎜や28㎜の構造用合板で、根太と下張りを兼用する施工法で同時に水平耐力(火打ち)の役割も果たします。

床構造がシンプルになるため床鳴りリスクが減り、足場にもなるため施工効率にも大きく影響します。

・合板の固定位置について

床合板の位置合わせは、家の中心部に通し墨を打って張り出す大工さんが多いと思います。

プレカットの床合板は寸法よりも柱カギとホゾ穴を優先して固定します。

※床合板の通りの精度が後の施工に影響することはありません。

・床合板同士の突き付けについて

鋸刃一本(2㎜)空かす

床合板は床構造で珍しく釘だけで固定する部分です。
床合板は、厚みがあるとは言え中心部分を踏むと下がるため、床合板の木口もわずかに動きます。

もちろん床合板同士を突きつけたままフローリングを張ると床なりが発生しますので床合板は2㎜程空かして施工します。

後のフローリング施工時に鋸刃を入れて空かすこともできるのですが、張るときに空かせておけば作業が一つ減ることになります。

合板のサイズのチェック

実は床合板は普通のサブロク(910㎜×1820㎜)ではなく、縦横2㎜ずつ小さく作られていることが多いです。

外壁用面材も同様ですが、最初から空かせて施工することを考慮したサイズで作られています。

突きつけて張る方が楽なのですが、小さい材料を突きつけて張ると全体が寄ってくるので柱カギもズレが出ます。
むしろ空かさない理由がありません。

・床合板の釘打ちについて

床合板を固定する釘

床合板の固定にはN75という釘を使用します。
水平耐力用面材でもあるためこの釘は構造検査の対象となります。

打ち込み過ぎに注意

床合板の釘は打ち込み過ぎに注意します。

・釘打ち機の打ち込み深さ設定

N75釘を打つ釘打ち機は、大引きを固定する釘を打った後に釘を変えて使用することが多く、打ち込み深さ設定の変更が必要です。

大工が使用する釘の種類についてまとめたページはこちら

・釘の検査について

N75釘は構造検査で釘の長さを確認するために色付けされています。

建前時には合板面で止まっていることが理想です。

大工の責任(請負契約)についてまとめたページはこちら

・後の増し締め作業

床合板のN75釘は、建前などでの雨濡れなどが完全に乾燥した状態で改めて増し締めを行います。

釘打ちのピッチについて

床合板は150㎜ピッチで固定します。
合板の短手(910㎜)で7本打ちます。

正確に測ると6本で150㎜ピッチですが、少しでもビッチが狂うと150㎜以上になるため余裕を見て7本打ちます。

・サネ付きタイプの注意点

床合板にはサネ(ほんざね)付きタイプがあります。

大引きに直行する小ササラ(合板の継ぎ手下地)を入れない仕様で使用するタイプですが、サネ部も歩行時に振動する床なりのリスクです。

サネを入れる場合、サネの雌側に少しだけウレタンボンドを塗って差し込みます。

※たくさん塗るとサネの刺さりが悪くなり全体に広がってしまいます。

大工が使用する建築用面材についてまとめたページはこちら

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土台敷きのポイントまとめ

土台敷きのポイントまとめ

・床鳴り対策まとめ

床鳴りの原因

床鳴りは歩行によって木材と木材、もしくは木材と釘がすれることによって発生します。

解決策1・隙間を開ける

床なりの原因は木材の擦れなので木材同士が触れないように隙間を開けることで解決します。

解決策2・固定する

もう一つの解決策は触れている部分を完全に固定することです。

・ボンドでの固定

近年の床鳴り対策に大きく貢献しているのがウレタンボンドです。
ウレタンボンドは強い接着力と弾性が特徴で釘やビスのように床なりの原因になることがありません。

塗る手順に慣れるだけで時間をかけずに確実な施工が可能です。

大工が使用するボンドの使い方をまとめたページはこちら

・釘での固定

釘は釘打ち機で打つため非常に高速で固定できます。

釘は木割れの原因となる可能性があり、引き抜きに弱い特徴があり、床鳴りの原因になることもあります。

木割れには十分配慮して引き抜きの力がかかる部分ではボンドやビスと併用します。

釘の特徴や釘打ち機の使い方についてまとめたページはこちら

・ビスでの固定

引き抜きや微調整がしやすい特徴があるビス。
微調整を行うことが少ない新築では比較的ビスの使用は少なくなります。

ビスは横方向の力に弱く折れやすい特徴があるため根太受けなどでは使用しません。

大工が使用するビスについてまとめたページはこちら

・水平精度について

基礎の水平について

新築工事での基礎の水平は建物の水平に大きく影響します。
基礎に直接土台を固定して、その上に直接床下地である床合板を固定しますので、床の水平の調整は非常に難しくなります。

水平の確認について

基礎の水平精度については基礎を作る基礎屋さんを信用するしかありませんが、土台敷の際に目視でも一度はレベルの確認は行いましょう。

土台敷の時点では基礎パッキン部分で若干であれば調整が可能です。
直せない場合にはすぐに現場監督に確認しましょう。

・雨対策について

木造住宅と雨について

土台や建て方は屋根がないため雨が降ると家が濡れます。

大工も雨は嫌ですがお客さんも家が濡れるのを嫌います。

お客さんが求める雨対策

雨による家の濡れを100%避けることはできません。
もちろんそのことはお客さんも承知していますが、濡れて当たり前という扱いは信用を失います。

お客さんは大工や施工会社が一生懸命に家を濡らさないように努力する姿勢を求めます。

雨対策で大事なことはできることを一生懸命やることです。

お客さんの求める家作りについてまとめたページはこちら

・土台敷き作業でのスピードアップのコツ

土台敷きの作業を早く行うコツについてまとめました。

効率の良い材料運び

墨付け刻みや建て方にも共通することですが、重い材料は無駄に動かさないようにします。

丁寧な作業に時間をかけると喜ばれるかもしれませんが、無駄なことをしても誰も喜びません。

スキルアップ

土台敷きではドリルや釘打ち機などの機械を使用し、サシガネなどを使用して墨付け作業も行います。

一つ一つの技術で結構時間が変わりますので、時間を意識した練習が効果的です。
技術を鍛えると何も考えなくても永遠に時間短縮できるようになります。

大工道具(ハンドツール)の使い方をまとめたページはこちら

休憩中の作業

建て方や土台敷きは終われば帰ります。
早く帰りたいときには休憩中にできる作業を探すのもありです。

建て方用のボルトは座ってコーヒーを飲んでしゃべりながらでも組むことができますよね。

2人での作業

土台敷き作業の墨出しは1人よりも2人の方が効率的です。

・旧床構造について

今回はプレカット仕様での土台敷きをご紹介しました。

現在の工法について深く知るためには、もともと行っていた工法について知ることも効果的だと思います。
リフォームでは布基礎や根太組などの工法が標準です。

大工にとっての建築資格(建築知識)の必要性についてまとめたページはこちら

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最後に

土台敷き作業も全部まとめると長くなっちゃいました。

絶対に床鳴りさせない楽な土台敷きの方法をご紹介させていただきました。
地域によって仕様などは変わると思いますが使えそうなものは使ってみてください。

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