建築用面材の特徴【プロの大工が紹介】コンパネ・ベニヤ・ボード

建築で使用する面材の特徴をご紹介

今回は大工がリフォームや新築で使用する建築用の面材についてご紹介します。
建築用面材とは合板やボード、コンパネなどの平たい建材のことで、様々なサイズや機能のものがあります。

建築を行うには建材の特徴や値段を把握して計画した上で、特徴を生かして使用する必要があるため、プロの大工が使用する建築用面材をまとめました。

目次

作成者プロフィール

説明用動画

種類や用途について
・面材の種類について
・建築用面材の用途について
・芯材と商品について
・サイズ規格について

合板(ベニヤ板)について
・構造用合板
・内装用ベニヤ
※クロス下地用ベニヤ
※コンクリート型枠用パネル

集成材について
・フリーバン(内装用集成材)
・ランバー材(ランバーコア)

圧縮材(木質繊維板)について
・外壁用構造面材
・パーティクルボード
・内装用繊維材(MDF・OSB)

防火用ボードについて
・石膏ボード(プラスターボード)
・ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)

化粧用面材について
・キッチンパネル
・フローリング

最後に

建材や金物についてのまとめページはこちら
大工マニュアルのトップページはこちら

記事の作成者

深田健太朗深田健太朗 京都府出身 1985年生
一級大工技能士や二級建築士、宅建士など住宅に関連する国家資格を5つ持つ大工です。
人生で最も高価な買い物である住宅に関わることに魅力を感じて大工職を志しました。
大工職人減少は日本在住の全ての方に関わる重大な問題だと考え大工育成のための教科書作りや無料講習を行っています。

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説明用動画

このページの説明用動画です。
文字で伝えにくい部分は、映像で詳しく説明しています。

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種類や用途について

内装用ベニヤ(ラワン合板)画像

・面材の種類について

建築用面材には様々なタイプがあります。

合板(ベニヤ板)

合板とは薄くスライスされた木材同士を直行(繊維方向)させて何層にも重ねた積層板です。
建築利用の歴史も古く、現在でも広く使用されています。
ホルムアルデヒドに対する基準もあります。

集成材

集成材は小さな木材同士を接着した材で、内装用と構造用があります。
芯持ち材(無垢材)と比べ、希少価値はありませんが反りや割れなど木材のデメリットを減らす材料です。
内装用集成材は、化粧材としても利用されます。

圧縮材(木質繊維板)

圧縮材は繊維状の木材やリサイクル材を圧縮して固めた素材です。
圧縮材は面材として建築で使用される機会は少ないですが、安価で特殊な形への成型も可能なため新建材(既製品)の芯材として多く利用されています。

防火用ボード

防火用ボードは防火基準のある建築物には欠かせない建材です。
内装用と外部用があり、ともに耐火性の素材を生成したものです。

石膏ボードの関わる法律や保険などについてまとめたページはこちら

化粧用ボード

化粧用ボードは圧縮材や化粧ボードなどの表面を化粧面に加工した建材です。
仕上げに直結するため、大工としては特に扱いに気を遣う建材になります。

・建築用面材の用途について

建築用面材は様々な用途で使用します。

1・仕上げ材としての使用

そのまま仕上げ材として使用する場合、それぞれの施工方法に合わせて使用します。

2・下地としての使用

最も多く使用される面材であるプラスターボードは、クロスや塗装の下地として使用します。
また、ベニヤなどは他の面材を張るための木下地としても使用します。

3・構造材としての使用

構造用合板などは木造建築の構造耐力に使用できます。
合板は座屈するため突っ張り強度はありませんが、引っ張りに強い特徴があります。
固定力や耐用年数など、構造用として認可を受けた材料があります。

4・面材単体の強度を利用して使用

内装用の棚板などは面材単体の強度を利用します。
安価で安定した強度を確保できる素材が使用されます。

面材強度を利用する下地工法についてまとめたページはこちら

・芯材と商品について

同じ素材でも複数の用途で使用できるものもあり、各メーカーが用途専用の商品を販売しています。
各芯材の特徴を把握して注文、施工する必要があります。

特殊な機能を持った素材を開発、商品化されているものもありますので、一般的な芯材と特殊芯材を分けて考える必要があります。

・サイズ規格について

日本の建築用面材は尺を基準とする在来工法で使用するために作られており、ほとんどの面材が尺を基準としたサイズで作られています。

モジュールについて

建築物を設計する上で決まった寸法を基準に設計することで、施工効率や強度を向上させて、価格の安定や工期の短縮を行う方法です。
木造住宅で使用されるモジュールは910㎜(約3尺)か900㎜で、ハウスメーカーなどでは1000㎜モジュールも使用されます。

※3尺モジュールは「キュウヒャクトウ モジュール」とよび、1000mmモジュールは「メーターモジュール」と呼びます。

サイズの呼び方

3尺×6尺(一尺=303㎜)は「サブロク」と呼ばれ、最も多い規格サイズです。
他にフローリングなどの1×6(イチロク)、ベニヤなどの4×8(ヨンパチ)、外壁用面材などは3×10(サントウ)などがあり、2×6もあります。

メーターモジュールの材料は「メーター板」などと呼びます。

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合板(ベニヤ板)について

構造耐力で使用される構造用合板画像

合板については、主に構造用合板と内装用ベニヤの違いについて理解する必要があります。

・構造用合板

合板の中でも建築構造に使用できる合板で、合板の引張強度を、斜材(筋交いや火打ち)の代替えに利用します。

用途

安価で、安定した強度があり、釘やビスとの相性も良いので、内装工事でも強度が必要な部分(階段下地など)でも多用します。
基本的に化粧材として使用することはありません。

サイズ

厚みやサイズは壁や床などでの構造使用を目的とした3×6や3×10などのサイズがあり、モジュールに合わせて1000㎜基準のものがあります。

構造用面材など屋根勾配のカットのコツについてまとめたページはこちら

・内装用ベニヤ

内装用ベニヤは、内装の仕上げ下地や化粧材に使用する合板です。
厚みが2.7㎜からあるので、薄さを必要とする収まりや、厚みを利用したパッキンに使用します。

内装用ベニヤの使い方のコツについてまとめたページはこちら

表面材

表面材はラワン・シナ・ポリがあります。

・ラワン仕上げ

ラワンは褐色の縦筋が特徴の樹種です。
クロス下地に使用され、物入れなどでは化粧材としても使用します。

・シナ仕上げ

シナ合板は品のいい白い木目の合板で、化粧材として使用します。
値段はラワンより高くなります。

・ポリ仕上げ

ポリ合板はカラー合板ともいわれ、家具などの面材として使用されます。

※現在の建築ではあまり使用されません

サイズ

内装用ベニヤは一般的な3×6と、化粧材利用のための4×8があります。

※クロス下地用ベニヤ

クロス下地用ベニヤ(商品名:Ⅿクロス、Jガイナーなど)は石膏ボードの代わりにクロス下地で使用する合板です。
石膏ボードにはビスが止められないため木下地(裏地)を入れる代わりに使用しますが、値段が非常に高いため、下地に使えるような残材がある場合などはもったいないので使用しません。

※防火性能はありませんので、防火指定のある建築では使用できません。

※コンクリート型枠用パネル

よくベニヤをコンパネとよびますが、コンパネはコンクリート型枠用のパネルの略称です。コンパネは内装で使用するために作られていません(ボンドの耐用年数が短いなど)ので、木造工事では使用しません。

サイズも木造用建材と規格が違います。

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集成材について

内装用集成棚板のフリーバン画像

・フリーバン(内装用集成材)

内装用の無塗装集成材をフリーバンといいます。
オーダーすると様々な樹種や大きさで注文することができます。

フリーバンの使用方法のご紹介ページはこちら

プロが使用する規格サイズ

主に建材店で多く扱われる規格は、樹種はパイン材、スプルス材、ゴム材など。
サイズについては、厚みが15㎜、20㎜、25㎜、30㎜。幅は500㎜、600㎜。長さ4200㎜です。

その他の規格

建材メーカーの内装カウンター材はゴムのフリーバンに家具塗装を施したものです。

ホームセンターではテーブル板サイズなど幅の広いもの販売されています。

集成材の価値について

無垢材の価値は樹木自体の希少価値によるものが大きく、小さな木材を集めた集成材には希少価値はありません。
逆に、一般的には希少価値がなく安価で取引される節あり材に関しては、フリーバン制作のコストが高くなる(節部が硬く刃が痛みやすい)ので無垢材と逆に高くなる可能性があります。

国産の化粧用木材の価値についてまとめたページはこちら

・ランバー材(ランバーコア)

ポリランバーコア材の棚板画像ランバー材(ランバーコア)は軽い材の集成材を合板で挟んだ複合面材です。
曲がりが少なく軽いので、建具や家具、棚板の芯材などにもよく利用されます。

サイズや仕上げ

規格は内装用ベニヤと同じで3×6や4×8です。
表面仕上げもラワン・シナ・ポリがあり、それぞれに木口を仕上げるための木口テープが用意されています。

手間と値段について

ランバーコアは直接仕上げで使用が可能なほど曲がりが少なく扱いやすい材料です。
しかし、値段がボードの20倍ほど高いため、よほどランバーの特徴が活かせる状況でない限り使用しません。

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圧縮材(木質繊維板)について

現在の建築には欠かせない木質繊維板

・外壁用構造面材

外壁用面材には様々な繊維系圧縮材の商品があります。

機能性の構造用面材

構造用面材は建築物の断熱計画に関係します。
ウール系の断熱材は原理上外壁面で通気する必要があるため、構造用面材に通気機能を追加した商品があります。

また、防火性能を構造用面材で補うために棒化機能を追加したものもあります。

東日本大震災の影響

東日本大震災の際には、多数の合板工場が津波の影響で供給できなくなったため、様々な代替え品(OSB製やパーティクルボード製)が普及しました。

・パーティクルボード

パーティクルボードは廃材を細かくして圧縮して固めたリサイクル材です。

床用パーティクルボード

パーティクルボード(20㎜×2×6)は店舗などの木造以外の床下地工法で使用します。

ゴム付きの支持脚を使用することで、施工性が高く、抑音効果があり、電気や設備配管などが行いやすい工法です。

値段や扱いやすさ

パーティクルボードは建築廃材のリサイクル材なので、非常に安く手に入ります。
釘などの屑も混入しているため、丸鋸の刃がすぐに切れなくなります。
また、非常に硬くビスなどの金物との相性も良くありません。
水を含むと反りが発生し、補修することができない材料なので、雨がかかる可能性がある木造での構造使用には向いていません。

フローリングや棚板などの芯材

パーティクルボードはフローリングや棚板の芯材としても利用されます。
パーティクルボード製のフローリングは、木製フローリングに比べてデリケートな施工方法が必要となるため、普及し始めた頃は大工が木質フローリングと同様の施工を行っていたことが原因で、床なりのクレームが多発しました。

棚板の芯材としても普及していますが、重い素材なので可動棚には向きません。

・内装用繊維材(MDF・OSB)

ここでご紹介する素材は、建築用面材として普及はしていませんが、新建材(既製品)の芯材として広く利用されているため、現場ではよく見かける素材です。

無垢材と新建材の違いについてまとめたページはこちら

MDF材

MDFは木材を繊維状にして圧縮生成した材(分厚い紙のようなもの)です。
繊維方向がなく、薄くしても強度が安定していて加工がしやすいため、工作用素材としてホームセンターなどで手に入ります。

OSB材

OSB材はMDF材と合板の中間の存在です。
面材としてはよく見かけますが、日本の建築では今はあまり使用されていません。

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防火用ボードについて

内装用防火ボード(プラスターボード)画像無塗装窯業系サイディング画像

・石膏ボード(プラスターボード)

石膏ボードは、建築の内装工事で最も広く使用される面材です。
防火性能や遮音性能が高く、安価なのでクロス仕上げなどの下地に使用します。

建築の仕様に合わせて様々なサイズや機能が追加されたものがあります。

石膏ボードを張る道具についてまとめたページはこちら

・ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)

ケイカル板は白色の耐水性がある防火板で、主に外壁の塗装下地に使用します。
防火仕様に応じて様々な厚みのものを使用します。
鋸でカットする場合にはたくさんの粉塵が出ますが、鉋で削ることもできるほど加工しやすい素材です。

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化粧用面材について

・キッチンパネル

キッチンパネルは、その名の通りキッチン用の化粧面材です。
表面が硬く、防水性能や、耐熱性能があります。

固定には釘は使用せず、両面テープで仮固定して専用ボンドで接着します。

・フローリング

様々な仕上げ材、芯材のものがありますが、施工の際には芯材と釘やボンドとの相性を把握する必要があります。

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最後に

面材は大工にとって非常によく使う建材ですが、建材の中でも人為的に作られた機能も多く、扱いが複雑な建材の一つです。

設計段階で機能を利用する計画を立てていても、施工者が理解できていないと機能を無駄にしてしまう可能性もありますので、大工には面材の知識は欠かせません。

特徴を論理的に理解して、組み合わせや応用に役立ててください。

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