大工技能士【一発合格のコツ!】競技課題を100個作った大工が解説

建築大工技能士検定合格のためのコツ集

今回は、国家資格である建築大工技能士検定で使えるコツをまとめました。
作成者が技能競技や技能大会に参加してきた経験の中から、技能検定で時間短縮や精度を出すためのコツを35個ご紹介します。

一級の方も二級の方も、使えそうなものは試してみてください。

目次

作成者プロフィール

説明用動画

現寸図作成のコツ
1・線を書き分けて間違いを減らす
2・使いやすい文房具を使用する
3・外から書いて精度を出す
4・紙(支給される資料)を利用する
5・引き出し線のコツ
6・姿勢について
7・練習のコツ
8・最後の手段(すべて暗記する)

木づくり(木ごしらえ)のコツ
9・支給材料をチェックする
10・ネジレは削り台の精度を利用
11・直線の確認は定規と鉋を併用する
12・削り台の設置方法
13・無駄に削らない
14・厚み合わせのコツ
15・削り面を把握する方法
16・斜面の削り出し
17・最後の手段(削らない方法)

墨付けのコツ
18・現寸図で長さをとる
19・すべて勾配で墨を巻く
20・墨の扱い方
21・最後の確認

刻み加工のコツ
22・効かせ具合
23・斜め柱穴の加工法
24・欠き取り加工
25・鑿を扱う姿勢
26・ドリルについて
27・手ノコの扱い方
28・段取りについて
29・鑿の手入れ

組み立てのコツ
30・割れ対策
31・火打ちを入れた時点で矩の確認
32・全体的に組んでいく
33・釘締めで締める

その他のコツ
34・履物について
35・仕上げについて

最後に

一級技能士の勉強法についてまとめたページはこちら
大工マニュアルのトップページはこちら

記事の作成者

深田健太朗深田健太朗 京都府出身 1985年生
一級大工技能士や二級建築士、宅建士など住宅に関連する国家資格を5つ持つ大工です。
人生で最も高価な買い物である住宅に関わることに魅力を感じて大工職を志しました。
大工職人減少は日本在住の全ての方に関わる重大な問題だと考え大工育成のための教科書作りや無料講習を行っています。

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説明用動画

このページの説明用動画です。
文字で伝えにくい部分は、映像で詳しく説明しています。

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現寸図作成のコツ

現寸作成の様子

技能士試験は開始と同時に現寸図を書きます。

1・線を書き分けて間違いを減らす

現寸図は採点や墨付けの効率にも影響しますので、線の太さを変えて自分でもわかりやすいように仕上げることが間違いを減らすコツです。
引き出し線はギリギリ見えるくらいの細い実線を使用して、見えがかり線は濃い実線で欠きます。
また材芯は一点鎖線で書き、材裏で見えない線は点線で書くとわかりやすくなります。

※線の長すぎは、見た目が悪いかもしれませんが、こだわると時間がかかりすぎますで、ある程度は気にしない方がいいです。

現寸図の原理についてご紹介している動画はこちら

2・使いやすい文房具を使用する

僕が現寸図作成で使用するペンに関しては、以前は0.5㎜の2Bを使用していましたが、検定時には0.4㎜タイプのシャープペンシルのBを使用しました。
実線と引き出し線(濃い線と細い線)を書き分けやすいものがいいです。

そして、現寸図で直角を出すための定規に関しては、サシガネではなく三角定規を使用します。

サシガネの使い方についてまとめたページはこちら

3・外から書いて精度を出す

現寸図で最も簡単に精度を出す方法は、正確な外寸を暗記してから外側から書き始めることです。
試験機関での講習では、採点用の原寸(透明のフィルムに書かれた現寸)で現寸講習を行っているはずなので、その採点用の原寸の寸法を暗記して使用します。

平面図芯から展開図角までの対角寸法や、展開図の総幅などだけは暗記をお勧めします。

4・紙(支給される資料)を利用する

検定本番では資料の持ち込みはできません。
新たな資料が支給され、検定開始後であれば書き込みができます。

隅木の展開図(幅線)を書くためには寸法を測って書き出しますが、寸法を紙に移して使用すると測り間違いが減りますので、支給される資料を利用します。

他にも配付たる木の引き出し(芯から引き出し線の幅を移す)にも使用できます。

規矩術(勾配計算法)についてまとめたページはこちら

5・引き出し線のコツ

引き出し線はギリギリ見える細線(設計ではヘアラインと呼ばれる)を使用します。
引き出し線は平面から直角な引き出しと、展開図に直角な引き出しの2度引き出します。

2度目の引き出しの際に1度目で引き出したポイント(交点)が混乱しやすいので、迷わないようにポイント部分を濃い印にするなどの対策を行います。

6・姿勢について

現寸図は本来とても大きな材料を実寸で書き表すための図面なので、踏むことは問題ではありません。
現寸を書くときは現寸の上に乗り、書きやすい方向に体を動かして、時には定規を足で押さえて線を書きます。

※作業台を用意されている場合でも「遠い部分に手が届かない」など、作業性は確実に落ちますので、地べたで書くことをおススメします。

7・練習のコツ

現寸図の練習では、手順の確認と必要寸法の暗記が主な目的です。
ケント紙は大きいので自宅で毎日書くのは負担ですし、手順や暗記をするためであれば、必ずしも実寸で書く必要はありません。
尺目盛りのサシガネを使用して約3分の1の縮尺(A3用紙サイズ)で書く練習がおススメです。
小さい縮尺でも繰り返し書くことが現寸練習に最も効果的です。

8・最後の手段(すべて暗記する)

この方法はどうしても制限時間に間に合わない場合の方法です。
現寸で書くすべての勾配と寸法を暗記すると、現寸や墨付けで大きく時間短縮ができます。

この方法には大きなリスクがあり、間違えた場合には誤差が大きくなるので課題を作り上げることができなくなります。

※おそらく引き出し線が書かれていないと減点があります。

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木づくり(木ごしらえ)のコツ

木づくり(木ごしらえ)の様子

実は技能試験で最も難しいのが木づくりです。
今回は荒鉋と中仕上げ鉋の二つを使用する場合でのコツをご紹介します。

9・支給材料をチェックする

技能検定では開始前に支給材料をチェックする時間が設けられていて、材料交換も可能です。
技能検定で使用するトガ材は比較的固い樹種で、厚く削りながら逆目を止めるのが難しく、逆目が目立つ材料です。
逆目対策のために木目がきつく巻いているものは交換します。

木材の扱い方についてまとめたページはこちら

10・ネジレは削り台の精度を利用

木づくりでは材の平面性を何度も確認しながら加工します。
検定では削り台が支給され、削り台に材料を当てることでネジレを確認します。
平面精度が低いと確認できないので、材料チェックと同時にチェックします。
ネジレのチェックは削り台の両端に直角に材料を置き二つの材料のネジレを目で確認します。

11・直線の確認は定規と鉋を併用する

材料がまっすぐかどうかは、現寸で使用する1m定規を当てると判断できます。
1m定規は厚み方向に柔らかいので、曲がりがない状態で使用します。

直線的な平面性を素早く削るためには鉋の調整が不可欠です。
鉋は、調整次第で削るだけで平面を正確に削り出すことができる道具なので、正しい調整を行っておくことで定規での確認の数が減り、時間短縮につながります。

鉋(かんな)の調整についてま止めたページはこちら

12・削り台の設置方法

木づくりでの時間短縮と精度の確保のために削り台の設置方法はとても重要です。
技能検定では削り台以外に刻み台を2本支給されます。
刻み台を一本ずつ削り台下に据えると、とても低い姿勢になりますので作業効率が下がります。
刻み台2本を縦に並べて固定し、削り台前方の下に設置します。
削り台は直接作業ベニヤに固定すると斜めに設置できます。
削り台は長いので、削り台の前方で加工すると十分な高さが確保で来ます。

※作業ベニヤの下の床を傷つけないように注意が必要です。

13・無駄に削らない

木づくりで最も避けるべきは削りすぎです。
硬い材料を1.5㎜削る作業はとても大変ですので、無駄に削りすぎないように仕上げることが大切です。
スコヤなどで常に材料の角度をチェックして削る量を把握して目標をもって加工します。

スコヤやケビキなどの使い方についてまとめたページはこちら

14・厚み合わせのコツ

木づくりを行う場合、先に2面の平面を加工して、加工出来た面から厚みを合わせます。
検定課題の厚み合わせに関しては毛引きを使用します。

毛引き面を上にして 毛引き筋まで面をとり、削り面を上にして面が無くなるまで削ります。
毛引き筋までの粗削り作業は荒鉋で行い、中仕上げ鉋で逆目を止めながら平面に仕上げます。

※毛引き筋を0.5㎜大きく入れると寸法通り仕上がります。

15・削り面を把握する方法

木づくりの角度の微調整では無駄に削らないように、削っている面の把握が重要です。

削り面の確認は目視では難しいので、鉛筆で削り面に横線を5本ほど引いて削ると削っている面は一目瞭然です。

16・斜面の削り出し

検定課題の木づくりでは隅木や四方転びの柱など、斜面に削り出す作業があります。
斜面の削り出しで最も早いのは荒鉋の刃を可能な限り多く出して削る方法です。
この作業は単純作業なので、一生懸命削るだけで時間短縮になります。
見ていても減りませんので汗をかいて削ってしまいます。

17・最後の手段(削らない方法)

どうしても制限時間に間に合わない場合は、減点覚悟で削らずに作る方法があります。
収まりの原理さえ把握できていれば1.5mm大きくても課題は作り上げることができます。

しかし、墨付けも刻みも考えることが増えますので、木づくりの時間短縮はできますが難易度は上がります。

※減点によって受からない可能性もありますので、どうしても間に合わない場合にのみ試してください。

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墨付けのコツ

墨付けのコツについて

墨付けはなかなか時間短縮が難しい作業です。
刻み精度に直結する他、墨を残す課題では見た目に直結します。

18・現寸図で長さをとる

墨付けに必要な寸法は現寸図に当てて拾います。
寸法を拾う際にはシャープペンシルで行います。

隅木など複数面の角点を拾う場合には回転させる用の墨を先に回します。
二級課題の柱のように同じ寸法を拾う場合は、一本現寸から拾ったらほかの材料には材料同士を合わせて移します。

木口の墨も現寸図から拾います。

19・すべて勾配で墨を巻く

寸法を拾えたら、拾った角点を基準に墨を巻きます。
角点を繋いで墨を巻く方法では勾配が狂いやすいので、すべて勾配を使用して墨を巻きます。
勾配は自由スコヤを展開図に当てて拾います。
現寸図に多少のズレがあっても長さと勾配が合えば胴付きは付きます。
基準角を設定して墨を巻けば、木づくりの精度が多少ズレていても収まります。

墨差しの使い方についてまとめたページはこちら

20・墨の扱い方

墨が汚いと単純に下手に見えますが、実は墨壺や墨差しの扱い方はとても簡単です。
例えば墨を薄めると墨持ちが数倍よくなり汚れも減ります。

墨壺(すみつぼ)の使い方についてまとめたページはこちら

21・最後の確認

墨付けの後は刻み加工です。
刻み加工は効率を高めた手順で行いますので、作業途中に墨の確認は行いません。
墨を間違えるとさすがに合格できませんので、やり直しができる段階で最後の確認を行います。

※作成者も大きな間違いをした経験があります。

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刻み加工のコツ

刻み加工の様子

刻み作業は正確に刻めるなら早ければ早いほど良く、最も時間短縮が可能な作業です。
技能検定に必要な刻み精度は一つの仕口で0.2㎜以内です。

22・効かせ具合

効かせ具合は二級課題で0.5㎜、一級課題で0㎜です。
二級の場合は、ゆるくてもきつすぎても良くないので難しいポイントです。

一級の課題は釘止め部分は利かせる必要がありません。
梁や桁などはきついと入りにくく、調整も難しくなるので、合格目的であれば0.5㎜ほど緩く作るのがおススメです。

鑿の使い方についてまとめたページはこちら

23・斜め柱穴の加工法

一級課題で最も加工しにくいのは柱に隅木のホゾ穴を開ける作業です。
この作業では余る材料(火打ち材の端)に欠き取りを行いホゾ穴が掘りやすい台を作ります。
ホゾ穴が垂直になるように固定できると柱の角が上を向くので、木工錐が差しにくい形になります。
木工錐での穴あけの前に、角部分を平面に加工すると解決できます。

24・欠き取り加工

欠き取り加工では、丸ノコで欠き取りを行うのと同じように何本も鋸目を入れて鋸の深さを目安に欠き取ります。
鋸が使用できる場合は鋸を使用したほうが早く正確に加工できます。

25・鑿を扱う姿勢

技能検定の課題では実務と比べて短い材料を刻みますので、実務の姿勢では材料を安定させることが難しくなります。
僕は刻み台の上に座り、膝を倒すように左太ももで材料を抑えます。
左膝に左肘を乗せられるので、鑿使いも安定します。
右肩が上がる姿勢になるので、右手は自由に使えます。

26・ドリルについて

ドリルは割れ止めに鑿打ちを行います。
ドリル径は穴径より1.5㎜小さい錐がベストです。
鑿使いと同じように穴の方向を狙って掘っている方が鑿での作業が楽になります。

墨を狙う場合には穴芯にネジ部を合わせます。
斜め穴を掘る場合にはネジをさす時点で角度を固定して行います。
穴深さに関してはドリルの細くなっている部分を基準にします。

木工錐の研ぎ方についてはドリルのページで解説しています

27・手ノコの扱い方

仕口のオスはほぼ鋸を使用します。
特にホゾの挽き割りは後から削り直しに時間がかかるので、丁寧に一発で0.2㎜精度を出せるように引けることがベストです。
刻み台に材料を置き、足で押さえて上から両手で力強く引いて切ります。

引く手と抑える足の力のバランスが難しいので、練習が必要です。
ホゾの裏面は見えませんので、無理をせずに何度も裏返して墨に合わせます。

手ノコの使い方についてまとめたページはこちら

28・段取りについて

刻みの段取りは実務でも共通することですが、同じ作業はまとめて一度に行います。
短いと刻みにくくなるので、長さやオス仕口は後で加工します。
鑿打ち→鑿加工用の鋸入れ→ドリル→鑿加工→オス仕口が普通です。

※僕は腰が痛いので鋸引きを何度かに分けました。

29・鑿の手入れ

刻み加工で速さと精度を高めるためには鑿の手入れが重要です。
練習の中で徐々に調整して、本番までに本調子になるようにします。

鑿の研ぎ方についてまとめたページはこちら

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組み立てのコツ

組み立て作業のコツについて

組み立て作業でのコツをまとめました。

30・割れ対策

技能検定で使用するトガ材はとても割れやすい材料です。
割れやすい木目もあり、組み立ての軽い振動だけであっけなく割れる可能性があります。
二級課題では仕口を利かす必要がありますので、特に割れには注意が必要です。
天板に柱を差す段階では天板をハタガネで締めておいた方が無難です。

※もちろん木殺しは必要です。

31・火打ちを入れた時点で矩の確認

一級課題で気にしてほしいのは火打ちの長さです。
火打ちを入れた時点で一度確認したほうが安全です。

32・全体的に組んでいく

一級課題は釘止め部分が多いので遊びがあり、少しの調整で仕上がりが変わります。
片方から締め上げていくと、最後の部分で胴付きが付かないなどの不具合が出る可能性がありますので、全体に収めてから少しずつ締め上げます。

33・釘締めで締める

昔の課題と比べて現在の課題では釘は締め込みです。
三角錐で下穴を開けてから釘を打ちます。
締め込みにポンチが必要です。

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その他のコツ

その他の作業でのコツをまとめました。

34・履物について

鋸引きの際に材料を足で踏みます。
安全上、素足での作業はできませんが、土足での踏み付けも良くありません。
作業台の上を土足禁止として上履き(足袋など)を用意してください。

※靴下の上から履く防寒用の靴下(上履きにもなるもの)でも大丈夫でした。

35・仕上げについて

組み立ての前後で仕上げを行います。
課題上木口も鉋仕上げ糸面取り仕上げとされています。
糸面は本来柱に対しての比率ですので、1㎜で十分です。

実務でとる面(2㎜)をとると大きすぎて締まりません。

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最後に

いかがでしたか?
実務ではあまり使わないこともあったかもしれません。
コツは人それぞれの作業に合わせて使用するものなので、使えそうなものがあれば使ってみてください。
合格目指して頑張ってください。

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一級技能士の勉強法をまとめたページはこちら
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