石膏ボード張り【大工用】加工に便利なおススメ道具紹介と使い方
今回はプロの大工が石膏ボード(プラスターボード)張りを行うための道具であるボードヤスリ・集塵丸ノコ・面取り・ビス打ち機・エアタッカー・マルチツールなど、木造の大工が新築やリフォームなどの内装工事で便利なおススメ道具の紹介や使い方についてまとめました。
目次
ボード用の道具1(持ち歩く道具)
・手袋
・ボードヤスリ
・ドライバー(手回し)
・カッターナイフ
・当て木
・木工用ボンド
・その他持ち歩く道具
ボード用の道具2(作業台での道具)
・作業台(クロス台)
・集塵機
・集塵丸ノコ
・墨壷(白墨)
・面取り(ボード鉋)
・手鋸(パイプソー)
・丸ノコの下敷き
・その他作業場で使用する道具
ボード用の道具3(現場での道具)
・インパクトドライバー
・ビスガン (ビス打ち機)
・エアタッカー
・マルチツール
・照明
・脚立
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記事の作成者
深田健太朗 京都府出身 1985年生
一級大工技能士や二級建築士、宅建士など住宅に関連する国家資格を5つ持つ大工です。
人生で最も高価な買い物である住宅に関わることに魅力を感じて大工職を志しました。
大工職人減少は日本在住の全ての方に関わる重大な問題だと考え大工育成のための教科書作りや無料講習を行っています。
説明用動画
このページの説明用動画です。
文字で伝えにくい部分は、映像で詳しく説明しています。
ボード用の道具1(持ち歩く道具)
石膏ボードを張るために使用する道具の中で、主に釘袋に入れておくような常に持ち歩く道具をまとめました。
・手袋
汗をかいた手で加工などを行うと、手にボードの汚れ(白い粉)が付き、汚れたボードに触れると白い手形が付きます。
手形が付いているとカッコ悪いので、ボード張りの際には汚れ防止に手袋を付けます。
手袋の選び方
ショーワグローブ 組立グリップ グレー Mサイズ 10双
手袋はニトリルゴム製の背抜きタイプ
洗っても匂いが取れなくなりますので、使い捨られる安いものをおススメします。
・ボードヤスリ
ボード張りにおいてボードヤスリを使いこなすことは重要スキルです。
ボードヤスリの選び方
化粧材が取り付け終わっている段階でボード張りを行う場合が多いので、作業中に誤って落とす可能性のあるボードヤスリは軽いものを選びます。
おススメのボードヤスリ
タジマ ボードヤスリ 130 中目
タジマ製の軽くて小さいボードヤスリです。
爪のようなものは邪魔になるので外して使用します。
・ドライバー(手回し)
ビスガン(ビス打ち機)でボードを張る場合の増し締めには、持ち運びや、力の調整が行いやすい手まわしのドライバーを使用します。
ドライバーの選び方
ベッセル ボールグリップドライバー プラス(2番)
短いドライバーは持ち運びやすいですが、力が入りませんのでスタンダードな長さがおススメです。
ラチェット式のドライバーもありますが、使うのが難しい割にメリットを感じませんのでおススメしません。
・カッターナイフ
カッターナイフは大タイプと小タイプを使用します。
カッターナイフ(大タイプ)
大タイプはボードの加工に使用します。
リフォームでのボード張りでは、カッターナイフで加工する方が早くて綺麗なこともあります。
新築でも細かい加工用に大タイプのカッターナイフは欠かせません
カッターナイフ(小タイプ)
小タイプは突きつけ部分の紙の処理(仕上げ)用に使用します。
突きつけるために削って余った紙をヘラで抑えて、余りの部分をカットします。
細かい仕上げ作業は、小タイプの方が行いやすく、使い分けることで刃先しか痛みませんので、刃先を折ることで常に切れる状態で使用でき、ボードが綺麗に仕上がります。
カッターナイフの選び方
・大タイプ
タジマ ドライバーカッター オートロック(適合替刃L型)
指本の突起部分はグラスウールなどの断熱材をカットする際に邪魔になるので削り落とします。
・小タイプ
オルファ 小タイプカッターナイフ ロングタイプ(ツメ付き)
ボード張り以外にもカッターナイフの使用時にはヘラを利用することが多いので、カッターナイフはヘラ付きがおススメです。
・当て木
ボード張り時には、ボードの持ち上げや、押さえこみ時の当て木として、ボード専用のあて木を用意して持ち歩きます。
ボード張り用の当て木のサイズ
ボード張りで僕が使用している当て木をご紹介します。
20cmのスンサン(35㎜角)を8cmほど斜めに切った形状で使用します。
ボード張り用当て木の使い方(ボードの持ち上げ)
新築ではサンパチボード(910×1820)を持ち上げる作業が多く、バールの要領でこね上げます。
フローリングが張りあがった状態で行う作業なので、バールを使用すると床に傷が付く恐れがあります。
※ボードをフロアーに接触させて張ると床なりの原因になります。
ボード張り用当て木の使い方(ボードの押し込み)
石膏ボードは入隅を突き付けて張るので、削って調整したボード木口を側面ボードに押し当てた状態で張ります。
石膏ボードの木口は非常に脆く、収める際にも当て木を使用して、ボード角や表面が割れないようにして押し込みあります。
※石膏ボードは、硬い(大きい)状態で叩き込んではいけません。
・木工用ボンド
ボード張り時には木工用ボンドをホルダーに入れて持ち運ぶと便利です。
ボンド張りの際はもちろん、継ぎ手の補強など、ボード張り中に木工用ボンドを使用する機会は意外に多く、毎度拾いに行くのは面倒です。
持ち運びに便利なおススメのボンドチューブ
ボンド 木工用 CH18 500g(ボトル)
コニシのチューブは大きさも硬さも持ち運ぶためにちょうどいいのでおススメです。
ボンドホルダー
DBLTACT フラットポケット
建前などのボンドが不要な状況で邪魔にならないように薄い布袋型で、ドライバーやカッターナイフが入れられるタイプがおススメです。
・その他持ち歩く道具
・スケール(コンベックス)
・カナヅチ
・2Hの鉛筆
ボード用の道具2(作業台での道具)
石膏ボードを張るために使用する道具の中で、作業台(加工場)で使用する道具をまとめました。
・作業台(クロス台)
ボード張りを行うには、作業高さも重要です。
高さ調整のためにクロス台を使用しますが、石膏ボードは100枚近く使用する建材なので、張れば張るほど低くなります。
クロス台の注意点
クロス台は、地震などの外力を受けた際に壊れる恐れがありますので、積み過ぎには注意しましょう。
積みかえる場合
ボードを床積み上げた状態で加工すると、残り20枚ほどになると積み替えが必要になります。
ボードの積み替えは、一人で行うには重労働です。
クロス台の高さ
クロス台は作業や身長に合わせて自作します。
台の上に置く材料の厚みを考慮しましょう。
高い台(80cm程)はつぶれる危険性も増しますので、積み過ぎには注意してください。
ボード用には低い台(20cm)を使用すると積み替えが不要になります。
作業高さを調整するコツ
積みあがっている場合(胸くらいの高さ)では直角に切る(エルアングルを使用する)ことができませんが、ひき割り(平行にカットすること)は出来るので、先にひき割り作業を行って低くする方法もあります。
・集塵機
丸ノコで石膏ボードをカットすると、たくさんのホコリが発生しますので、丸ノコ
を使用する場合には集塵機が必須です。
・集塵丸ノコ
集塵用の丸ノコと、箱付き(箱にホコリをためる)タイプがあります。
箱付きタイプ(箱にホコリをためる)
マキタ 防じんマルノコ(100mmタイプ)
リフォームの石膏ボード加工でカッターナイフを主に使用する場合、集塵丸ノコと使い分ける必要があり、ボードが少数であれば箱付きタイプが便利です。
箱付きタイプでも集塵機を取り付けることができますが、構造上刃が見えにくいなど使用には慣れが必要です。
集塵を使用しない場合には、材料の下部に隙間が空いているとホコリが飛びやすいので、カット部分全体に下敷きを当てる必要があります。
集塵機専用タイプ
木造住宅では集塵機専用タイプが一般的です。
基本的には集塵口が付いた、小さい刃径の丸ノコです。
刃を見やすく(切り墨に合わせやすい)するために、一般の丸ノコと逆構造になったタイプなどもあります。
※逆構造タイプは木工用の丸ノコと使用感が違います。
・墨壷(白墨)
石膏ボードに墨を打つ場合は、白墨などを使用します。
近年のクロスは非常に薄いタイプもあり、黒墨などは浮き出る可能性があります。
※間柱のビス印は、作業性が悪いので、僕は墨壺を使用していません。
・面取り(ボード鉋)
石膏ボードの継ぎ手になる木口はパテ用の面を取ります。
おススメの面取り
タジマ ボードカンナ180 適合替刃L型
他の面取りと比べ、小さい木口でも綺麗に面が取れる特徴があります。
刃の仕込み角度がきついので、使い心地が軽く、面の仕上りも綺麗です。
また、面の大きさ設定や刃の交換が簡単にできるので、ケイカル板の面取りでも使用できます。
刃物なので、釘袋に入れるのは少し怖いので、作業台で使用します。
・手鋸(パイプソー)
Z パイプソー フラット 225 替刃(ゼットソー共通刃)
石膏ボードの加工にも手鋸が必要です。
主には丸ノコの刃で切れない角や細かい作業で使用します。
※手ノコは加工時にホコリがたくさん出るのでメインでは使用しません。
・丸ノコの下敷き
丸ノコで石膏ボードを加工する場合には、下のボードを傷つけたり汚したりしないように下敷きが必要です。
スタイロフォーム下敷きの特徴
スタイロフォームなどの断熱材を下敷きに使用する人が多いです。
丸ノコなどでは何度も切断深さを調整するので、余裕を持った下敷きがほしくなります。
しかし、ボード張り時に切断深さを変えることは稀で、下敷きの厚みに余裕は必要ありません。
厚みのある下敷きを使用する場合、カットした時点でボードが重さで割れないように、下敷きを据える場所を工夫する必要があります。
おススメの下敷き
下敷きは段ボールがおススメです。
段ボールはゴミなので、無駄にはなりません。
厚みが薄いので、カットする部分に一枚だけ入れればいいのでボードの持ち上げが減ります。
少し柔らかいので、スタイロフォームと比べて入れにくいと感じるかもしれません。
他にも薄い石膏ボードや養生ボードなども使えます。
・その他作業場で使用する道具
丸ノコ用定規や差し金を定規として使用します。
ボード用の道具3(現場での道具)
石膏ボードを張るために使用する道具の中で、現場(張り場)で使用する道具をまとめました。
大工がボードを張る方法は釘止め、ビス止め、ボンド止めの3つの方法があり、状況や目的に合わせて行います。
・インパクトドライバー
マキタ 18Vインパクトドライバ(バッテリ等別売)
ボード張りでインパクトドライバーは、厚いボードの増し締めや、錐を使って配線穴をあけるなどで使用します。
石膏ボードのビス止め施工でも、近年はビスガン(ビス打ち機)を使用することが多く、バラビスをインパクトドライバーで止めることは滅多にありません。
インパクトドライバーの練習
石膏ボードをインパクトドライバーでのビス止めはかなり難しく、インパクトドライバーが使いこなせないと出来ない技です。
たくさんのビスを左手で回転させてビットに次々と送り、右手はブレないように力をかけてスイッチで微調整を行って絶妙の深さで止めます。
※効率は悪いのでおススメではありませんが、インパクトドライバーの修得にとても良い練習になります。
・ビスガン (ビス打ち機)
MAX 高圧ターボドライバ(41mm)
ビスガンは、ボード張りをビス止めで行う場合に使用します。
ビスガンは、他の釘打ち機と比べて、かなりメーカーによって調子が異なります。
日立(ハイコーキ)とマックスの違い
日立のビスガンは打ち込みが強く、軽く打つことができます。
マックスのビスガンは回転している時間が長く、ビスを打つように力をかける必要があります。
僕はマックスの方が好きです。
ビスガン選びの注意点
実はビスガンの構造の違いは施工会社の方でも賛否両論があり、会社によってはビスガンのメーカーを指定している場合があります。
ビスガンの購入を考えている方は、これから関る施工環境でそういった決まりがないかを事前に確認することをお勧めします。
また、短いビス用(32㎜まで)の小さいタイプもあります。
※集合住宅などの施工では2枚張りを行うこともあり、長いビスを使用することがあります。
ビス止めの特徴
ビス止めの場合には継ぎ目の下地は45㎜程必要になりますので、下地の時点で割付が必要になります。
ビス止めは、下地を外した時にと分かりやすいという特徴があります。
ボンドを塗るためにめくる作業がないので、新築ではビス止めの方が早く張れます。
ビスガンの使い方
ビスガンには連発打ちと単発打ちを切り替える機能があります。
ビスガンは単発(押し当ててからトリガーを引く)打ちの方が、綺麗に仕上ります。
他の釘打ち機と比べて力がいるので、両手で打てる時は両手で打つと楽にまっすぐに打つことができます。
ビスガンの注意点
ビスガンは空気圧や木下地の硬さ、打ち込みの力によって打ち込み深さが変動します。
ボードビスの打ち込み深さの範囲は狭く、紙が破けると保持力が無くなります。
めり込み過ぎないよう(表面から2㎜以内)に調整して、出たビスはドライバーで増し締めを行います。
また、ビスガンは壊れやすく、調子が悪くなりやすいので、使用する前には適量の油差しを忘れないように行いましょう。
・エアタッカー
MAX 釘打機高圧ステープル用エアネイラ
主にリフォームでボンド止めの仮打ちとして使用します。
マタ釘を打つ機械で、長さは25㎜までが打て、幅は機械ごとに4㎜7㎜10㎜の3タイプがあります。
エアタッカーの選び方
リフォームなどでのボンドの仮止めが目的なので、細い下地の継ぎ目や入隅を打つためには4㎜がおススメです。
玉(釘)は錆が出にくい色付き(白)を選び、9.5㎜ボードには22㎜釘、12.5㎜ボードは25㎜釘を使用します。
電動のタイプもあります。
使用上の注意点
釘打ち機の中では珍しく安全装置がない機械ですので、トリガーを引いたら発射されます。
ビス止めと比べて下地を外しても音でしか判断できないので、違いを聞き分けられるようになりましょう。
また、ビス止めと違い締めこむ力が弱いので、打ち込み時にはしっかりと押して、下地とボードが接触している状態で打ちます。
4㎜タッカーは保持力が弱いのでボンドを塗り忘れないように注意してください。
ボンド止めの特徴
ボンド止めは正しくボンドを塗ることでビス止めよりも強度が高くなり、細い下地でも張ることができます。
新築などでほとんど加工しない大きいボードを張り続ける場合には、ボンドを塗る作業は手間(ボンドを塗るために一度めくる作業)になります。
逆にリフォームでは加工しないボード(大きい)を張る機会が減るので、ボンドを塗る作業は苦ではありません。
※ボンド止めは張り終わってからボンドの確認ができません。
リフォームでの仕様
リフォームでは、大工が下地の時点で仕様を決める場合があり、リフォームではボンドタッカーが多くなります。
理由は、下地の割り付けが簡単になることや、下地を行わない部分(既存部分に張ります部分)に合わせるため、ビス止めによるメリットが減るからです。
リフォームの場合、防火基準に適合させることを目的にすることは少なく、クロス下地がメインの目的になります。
石膏ボード(プラスターボード)についてまとめたページはこちら
・マルチツール
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マルチツールのメリット
リフォームではボードを張りながら電気ボックスの開口などを行うことも多く、様々なイレギュラーな加工が必要になります。
イレギュラーな作業は単純作業と比べて多くの時間を費やす場合がありますので、イレギュラー作業を素早くこなす力がリフォームでは欠かせません。
マルチツールは特殊な構造の道具なので、イレギュラーな作業を簡単にこなせることが多く、全体で見てもおおきな時間短縮になります。
・照明
暗い状況でのビスの増し締め作業は、ビスの頭が見えにくくなり、無駄に時間が掛かります。
夕方暗くなってきて、片付ける前の作業程、照明を出してから行う方が結果早くなります。
・脚立
身長や現場に合わせて高さを選んで使用します。
脚立上部の長穴にインパクトドライバーを先が下になるように引っ掛け、リベット部分(可動部分)に釘打ち機のフックをかけるのが落ちにくくて使いやすいです。
作業場の道具整理にも便利
現場に3尺の脚立が余っている場合には、作業場の道具置き場にちょうどいいのでおススメです。
作業場で使用する道具は小さい道具も多く、床部分に置くと何度もかがむ必要があります。
三尺脚立の天端に差し金や手ノコ、面取りなどを置くと非常に楽になります。
側面にはゴミ袋をかけることができエルアングルを立てかけることもできます。
最後に
いかがでしたか?
ボード張りは様々な種類や施工法があります。
いろいろな道具を試して得意な施工法を見つけてください。
仕様によって張り方が指定されることもありますので、今回の記事が参考になればと思います。