ボンドの使い方【プロの大工が解説】木工用・ウレタン系・速乾系

木工用ボンド・ウレタンボンド・速乾ボンドについて

ボンドはたくさん種類がありますが、どのボンドが最適なのかわからないですよね。

実は大工工事に必要なボンドは3種類と意外に少ないんです!

間違った使い方をするとクレームに直結するため大工にとっては絶対に必要になる知識です。

そこで今回はクレーム知らずの作成者が、大工用ボンド3種類(木工用ボンド・ウレタンボンド・速乾ボンド)の特徴についてご紹介します。

このページで紹介するポイントさえ押さえれば、床鳴りクレームは絶対に置きません。
特徴を活かした施工方法のコツもご紹介しています。

みなさんもぜひボンドを使いこなしてください。

目次

作成者プロフィール

説明用動画

釘やビスとの違い
・床鳴りの原因にならない
・表面だけで接着する
・固定時に振動がない
・状況によって強度が異なる

ボンド別の特徴の違い
・木工用ボンドの特徴
・ウレタンボンドの特徴
・速乾ボンドの特徴

ボンドの基本的な使い方
・木工用ボンドの使い方
・ウレタンボンドの使い方
・速乾ボンドの使い方

ボンドの特殊な使い方
例1・ボンドパッキン(ウレタンボンド)
例2・補強塗り(ウレタンボンド)
例3・自家製集成材(木工用ボンド)
例4・出留め(木工用ボンドと養生テープ)
例5・細工のための固定(速乾ボンド)

ボンドを使用する上での注意点
・適正な量を知る
・ホコリや水分がない状態で使用する
・防火や構造強度、経年劣化について考慮する
・使用期限を守る

おススメボンドの紹介
・ウレタンボンド
・木工用ボンド
・速乾ボンド

最後に

建材や金物についてのまとめページはこちら
大工マニュアルのトップページはこちら

記事の作成者

深田健太朗深田健太朗 京都府出身 1985年生
一級大工技能士や二級建築士、宅建士など住宅に関連する国家資格を5つ持つ大工です。
人生で最も高価な買い物である住宅に関わることに魅力を感じて大工職を志しました。
大工職人減少は日本在住の全ての方に関わる重大な問題だと考え大工育成のための教科書作りや無料講習を行っています。

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説明用動画

このページの説明用動画です。
文字で伝えにくい部分は、映像で詳しく説明しています。

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釘やビスとの違い

同じ目的の釘やビスとの違い

最初に材料の固定にはボンドの他に釘やビスを使用しますので、各金物との違いをまとめました。

・床鳴りの原因にならない

床を歩いたときにキシミ音が発生することを床鳴りと言います。
床鳴りには様々な原因がありますが、固定した釘の緩みやビスの折れなども床なりの原因になります。
ウレタンボンドでの固定は、固定したことによって床鳴りリスクが増えることはありません。

大工が使用する釘についてまとめたページはこちら

・表面だけで接着する

釘やビスは材の外側から材全体を固定する圧力がかかり、例え緩みなどが発生しても保持力が無くなることはありません。
ボンド固定は材と材の間の表面固定なので、材自体の割れを固定できるものではありません。
しかし、接着面積は釘やビスに比べて圧倒的に大きいので固定力は非常に強いです。

・固定時に振動がない

釘やビスは固定時に振動が発生しますので、収まりを調整して固定する場合には手間がかかります。
ボンドは置いておいても固まるので、調整作業だけ行えば固定をボンドに任せることができます。

・状況によって強度が異なる

釘やビスは固定時に固定力を確認することができるのに比べ、ボンドは水分やホコリによって固定力が弱まる場合があります。
他にも熱や材料によって固定力が変わるので、状況を判断できる経験が必要になります。

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ボンド別の特徴の違い

ボンド別の特徴の表

今回ご紹介する木工用・ウレタン系・速乾ボンドの特徴の違いをまとめました。

・木工用ボンドの特徴

白ボンドと呼ばれ、扱いやすく安価なので、ボード張りや木下地での補強など木工事で広く使用するボンドです。
木材や紙の接着に使用します。
固まると半透明になり、硬化後も水分を含ませると除去することができます。

石膏ボード張りで使用する道具の使い方をまとめたページはこちら

最も使用頻度が高い

木工用ボンドは手軽に扱える割に釘打ちと相性が良く、強度を上げる効率が高いので木工事では頻繁に使用します。
腰袋にボンドチューブ用のホルダーをセットして持ち歩くとより便利です。

腰袋など大工が持ち歩く道具についてまとめたページはこちら

絶対に圧着で接着

木工用ボンドは圧着固定でしか固定力がありません。
古くから使用されているボンドですが、圧着できていない部分(隙間の部分)は経年劣化も激しいので木工用ボンドを使用した床組で床鳴りが多発した時期がありました。
現在、床部分には木部であっても木工用ボンドは使用しないようになっています。

適正に接着するとかなり強い

木工用ボンドは適正に接着すると強力に接着できますので、強度を信用して使用することができます。
フリー板と呼ばれる集成材の造作棚板は木工用ボンドで接着されている材料です。
適正に接着できていると接着部で剥がれることはありません。

・ウレタンボンドの特徴

ウレタンボンドは木工用ボンドの弱点を補うような特徴があるボンドで、主に床組みで使用するため床ボンド(ネダボンド)と呼ばれます。
硬化後は弾力のある樹脂になり、削り取る以外に除去する方法がありません。

一度着くと取れない

ウレタンボンドは固まっていない状態でも除去しにくく、硬化後の接着力も非常に高いボンドです。
一度着くと取れないので強度を信頼して施工できる反面、既製品の仕上げ面に付着して硬化すると除去できませんので取り換えが必要になる可能性があります。

隙間を埋めるように固定できる

ウレタンボンドは木工用ボンドなどと違い圧着状態でなくても固定できます。
隙間を接着できる樹脂で固定するイメージです。
特に床組みでは、歩行などによるたわみに対応できる柔らかさがあり、不要な隙間を埋めることができるウレタンボンドが床鳴り防止に活躍します。
材同士の入隅部分に塗ることで両材を補強することもできます。

クサビの作り方を紹介しているスライド丸ノコのページはこちら

ABS樹脂以外は接着できる

ウレタンボンドは、ABS樹脂(ウレタンボンドのキャップの樹脂)以外は概ね接着することができます。
木材はもちろん、コンクリートやタイル、金属との相性も良いのでリフォームでは床だけでなく壁や天井の下地にも使用します。

メーカーに指定されている

現在で使用されているフローリングはほとんどウレタンボンドでの接着が指定されています。
仕上げ面についたボンドが除去できないことを嫌い、シリコン製のボンドを使用する工務店もありますが、近年のフローリングは適正にボンドを塗らないと床鳴りしやすい材質のものも多いので、施工説明書でボンド指定を確認しましょう。

・速乾ボンドの特徴

木工用やウレタンボンドと比べて瞬間的に固定するために使用するボンドです。
固定力は強くはありませんので、釘やビスで固定できない細工用(仮固定)に使用します。
様々なものを接着できますが、一度剥がれた部分はなかなかきれいに接着できません。

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ボンドの基本的な使い方

口先のカットで使いやすさが変わります

・木工用ボンドの使い方

完全に接着する場合

しっかりと固定する場合には、両面全体にボンドを薄く塗り延ばし、接着して固まるまで圧力をかけます。

チューブを選ぶ

木工用ボンドのチューブはボトル型なので、ボンドが減ってくると絞り出しづらくなります。
楕円形のチューブは絞り出しやすくホルダーにもちょうどいい大きさなのでおススメです。

・ウレタンボンドの使い方

先端形状は円錐型がおススメで、軽く絞って出てくるぐらいの大きさで垂直にカットして使用します。

塗り方

思い通りに塗ることができる塗り方ボンドを塗る際には、材料に対してボンドを立てて押すように塗ります。
引っ張るように塗るとボンドが引きずられて思い通りに塗ることができません。

慎重に扱う

ウレタンボンドは化粧材に付着しないように慎重に扱います。
塗る範囲を把握してボンドに触れないようにする

※靴やズボンの裾なども気を付けましょう。

硬さの調整

ウレタンボンドは商品によって、温度変化で硬さが大きく変わるものがあります。
冬に固くなったボンドは非常に使いにくいので、白熱球などに近づけて多少温めて(20度くらい)使用することもあります。

・速乾ボンドの使い方

速乾ボンドは接着する全面(両面)に薄く塗り、半乾きの状態で接着し、硬化するまで圧着します。
はみ出たボンドは素早く除去します。

塗るときには先(口)で塗り伸ばしながらボンドを出して量を調整します。

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ボンドの特殊な使い方

ボンドの特徴を活かす技

ボンドの特性を活かして使えるコツをご紹介します。

例1・ボンドパッキン(ウレタンボンド)

仕上げ面を設定して下地を作る方法一般的な木下地では、下地材を釘やビスで出入り調整をして固定します。
釘やビスが固定しにくい場合や出入り調整が行いにくい場合にはとても時間が掛かります。

そのような場合には、ハシゴ状の下地の手前に桟を仮止めするなどして、下地材を下地面になるよう仮固定して、隙間にボンドを付けたクサビや束で支えて固まるまで一日放置します。
釘やビスは硬化後に固定すると簡単に固定できます。

例2・補強塗り(ウレタンボンド)

フローリングなどの面材を張る場合には、下地材同士の隙間にウレタンボンドを注入して下地を補強します。
仕上げ材ごと下地を固定するので物理的に強度を出しやすい作業です。

階段(箱階段)の施工では、組みあがり後に裏側から全ての入隅にウレタンボンドを角付けします。
ウレタンボンドの角付けは、階段以外でも床鳴り防止に非常に効果があります。
指で押さえる場合は木のトゲが刺さらない厚みの手袋がおススメです。

※メーカーによっては階段の施工手順として指定されています。
※ボンドによって硬化時に膨張するものや、柔らかすぎて垂れ落ちてくる商品もあります。

例3・自家製集成材(木工用ボンド)

木工用ボンドは内装用の集成材を手作りすることができます。
例えばフリーバンと呼ばれる内装用の棚板は、無垢材の刃材を木工用ボンドで圧着した棚板です。

フリーバンの一般的なサイズは500㎜か600㎜ですが、当然接着すると広いものを作る事ができます。
木工用ボンドは圧着できていないと強度が出ませんので、接着面同士がピッタリ合うように加工する必要があります。

木工用ボンドを使用して作られている内装棚材についてまとめたページはこちら

例4・出留め(木工用ボンドと養生テープ)

既製品の化粧材の出留めに有効な方法薄い材同士の出留めを作るためには正確な下地やカットが必要です。
正確な下地ができない場合や、釘が打てない場合(コンクリートの固定や、仕上げ釘も使用しない場合にはとても手間がかかります。

そのような場合には出留めの部材を養生テープで仮固定して調整します。
1・正確にカットした部材を平面的に並べ、養生テープを張り付けて繋げます。
2・裏返してカットした突きつけ部分に木工用ボンドを薄塗りして折り曲げます。
3・留先の角度は固定された状態で下地にウレタンボンドで固定します。

※ボンドがはみ出す可能性がある部分は木工用ボンドを使用して、隙間ができる可能性のある下地との間にはウレタンボンドを使用するなど、状況に合わせて使い分ける必要があります。

例5・細工のための固定(速乾ボンド)

速乾ボンドで細工の手順が変わりますを見切り材での仕上げ作業では、とても小さい部材の加工が必要になる場合があります。

例えば、既製幅木の留落とし部分をイレギュラーな形状の材に突きつける場合など。
小さな材の加工は機械で加工すると危険な場合もあるので、そのような場合は速乾ボンドを使用して留を先に接着してから加工します。

プラモデルのように固定するので、留が付かないことは絶対にありませんし、擦り付けも簡単です。
速乾ボンドは接着力が弱いので、固定時には全体を接着する必要があり、機械で加工する場合にも注意が必要です。

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ボンドを使用する上での注意点

ボンドは万能ではありません

・適正な量を知る

ウレタンボンドにはフローリング施工の目安量が示されていますので、必要量を感覚的に覚えましょう。

・ホコリや水分がない状態で使用する

どんなボンドもホコリや水分があると接着できません。
確実にホコリや水分を除去してから施工しましょう。

・防火や構造強度、経年劣化について考慮する

ボンドは万能ではありません。
たくさんの性能が求められる建築では、様々なことを考慮して使用しましょう

・使用期限を守る

ほとんどのボンドは使用期限があります。
フローリング施工などメーカー指定があるような部分での使用の場合は特に期限に気を付けましょう。

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おススメボンドの紹介

プロが選ぶ大工用のボンド

・ウレタンボンド

コニシ 床職人KU928C-Xアプリパック 600ml

パナソニックやリクシルのフローリングにはコニシ製のKU928C-Xというウレタンボンドが使用指定されています。
KU928C-Xは他のボンドと比べて、使いやすい硬さで、温度による変化も少なく、後からの膨らみも少ないのでフローリング施工以外にもおススメです。

内容量やパック方法が違ういろいろなタイプがあります。
フローリング施工にはカートリッジ式が使いやすく、他の作業ではアプリパックがおススメです。

・木工用ボンド

おススメの木工用ボンド(白ボンド)

コニシ 木工用 CH38 3kg(ポリ袋)

木工用ボンドはコニシ製のCH38 が使いやすいのでおススメです。
硬さがちょうどいいので扱いやすいです。

コニシ 木工用 CH18 500g(ボトル)

チューブはコニシ製の楕円形の500㎜ボトルが絞り出しやすいのでおススメです。
先が細いので若干大きく切り広げます。

・速乾ボンド

クリヤー色の速乾ボンド

コニシ ボンド Gクリヤースリム 20ml

速乾ボンドはコニシ製のGクリヤーという透明のタイプが手に入りやすく使いやすいです。

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最後に

ボンドは強度さえ把握できると、釘やビスで止められない施工ができますので、施工のバリエーションが増えます。
特に表面から形を作っていく考え方は、画期的な精度と速さを生む場合があります。

経験は必要ですが技術が必要というものではないので、積極的に使って新しい技を見つけてください。

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