リフォーム大工用の工法を紹介【ユニット型下地】面材強度の利用
箱下地はユニットバスのような工法で、使いこなすことができればリフォームなどで強度や仕上がりを高く保ちながら、大幅な時間短縮が可能です。
今回は箱下地の計画方法や注意点について解説します。
目次
箱下地の作り方
・計画(採寸)について
・箱制作のポイント
・固定について
箱下地のメリット
1・強度を確実に出すことができる
2・下地厚さが減ることで仕上がり寸法を確保できる
3・正確な寸法で直角に作ることが容易
4・効率が高いため作業時間の短縮ができる
5・空間上に計画することが可能
箱下地の注意点
・ランバー箱下地の問題について
・面材の強度について
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説明用動画
このページの説明用動画です。
文字で伝えにくい部分は、映像で詳しく説明しています。
箱下地(ユニット下地)とは
ベニヤやランバーコアなどの建築用木質面材は、墨付けや加工が行いやすい建材で、面強度を利用すると箱型の頑丈な下地を簡単に作ることができます。
箱下地は昔からある工法ではなく、上記のような信頼できる建材ができたからこそできる新しい工法です。
しっかりと計画を行えばユニットバスと同じようにたくさんのメリットがある工法です。
箱下地の作り方
・計画(採寸)について
箱下地を計画する場合収まり、固定の状況、強度、施工の段取りなどを確認します。
収まりの確認
造作との兼ね合いや空間のサイズを確認します。
固定の状況の確認
固定可能な部分を把握します。
強度の確認
面材強度が足りない部分がないかを確認します。
施工の段取りの確認
箱を組んだ場合に実際に据えることができるかを確認します。
水平や垂直の墨出し(計測)用の道具の使い方についてまとめたページはこちら
・箱制作のポイント
上記の確認で出た問題を解決できるような形に制作します。
面材と面材の接合部分(隅部分)はビスやボンドを使用して強度が確実に出るように固定します。
・固定について
箱下地の固定では既存部分と箱に隙間ができる部分があり、ビスだけではなく釘なども併用します。
空中に箱を固定するような場合には仮に水平な台 (水平に桟を仮止めする)に乗せるなどして、収まり良く配置し固定します。
箱下地のメリット
箱下地は面材の強度や精度を利用して、家具状の独立した箱を制作し、造作下地として利用します。
1・強度を確実に出すことができる
一般的な下地は既存の躯体に対して一本ずつ基準を出して固定していきます。
リフォームでは既存躯体の強度が低い場合(土や断熱材)や、固定できても基準通りに納めにくい場合(下地城が薄い場合やタイルなど硬い下地)がありますが、箱下地は安価に強度を出すことができます。
2・下地厚さが減ることで仕上がり寸法を確保できる
桟状の下地材は材の太さによって強度が変わり、細くするほどたくさんの固定が必要です。
既存壁の状態が固定に不向きな場合、固定ピッチが遠いため下地材を太くする必要があり、太くなることで仕上がりの有効寸法が小さくなります。
面材での下地は桟状の下地よりも厚みに対しての強度が高いため、下地の厚みを薄く収めることが可能です。
3・正確な寸法で直角に作ることが容易
面材はもともと正確な長方形であるため、直角定規や平行定規を使用するだけで正確な加工が行えます。
仕上がり寸法(内寸)を狙うことや、複雑な形の計画も容易に行えます。
加工方法(丸ノコ定規の使い方)についてまとめたページはこちら
4・効率が高いため作業時間の短縮ができる
一般的な木下地は、全ての下地面に対して縦横の垂直と水平の3つの平面基準が必要なので、下地面の数が多いほど墨出しの数が増えます。
箱下地の場合は一度の墨出しで固定することができます。
また、一般的な木下地と比べて組み立てが行いやすいので、複雑な収まり程大きな時間短縮になります。
矢切部分の勾配(三角)カットで時間短縮する方法についてまとめたページはこちら
5・空間上に計画することが可能
リフォームは新築と違い、解体後のスペースは基準のない空間となります。
箱下地の計画自体に基準は必要ありません。
大工が計画するために必要な計算式や方法をまとめたページはこちら
箱下地の注意点
・ランバー箱下地の問題について
建築面材にランバーコアという曲がりの少ない面材があります。
表面には内装ベニヤが張られているので、箱型に組むとラワン仕上げになります。
20㎜厚のランバーであれば、下地として十分な強度です。
ラワンランバーでの壁づくりは一つの弊害があります。
ラワンランバー材はとても値段が高いので、大工の人件費と比べても安いとは言えません。
よほど工事日数を減らす場合でない限り、用いる必要のない工法ともいえます。
・面材の強度について
箱下地はベニヤの強度を利用するので、一定面積を超えると座屈が起きます。
弱い部分には桟を入れるなどの補強が必要です。
最後に
いかがでしたでしょうか?
箱下地というのはユニットバスの工法に似ています。
新しい工法を行う場合、既存の工法より強度や精度を出せる保証ができなければ、お客さんの財産である家に使用してはいけません。
しかし、施工法というのは進化していくものです。
近年のリフォーム需要に対応するためには、必要な工法になると思っています。