【大工用】直貼りフローリング(L45)の張り方
今回はコンクリートなどの上にボンドだけで接着する直貼りフロアーの張り方についてまとめました。
この方法は以前床張りの専門業者から教わった方法で、ここで教わったひかりつけなどは大工が木造リフォームで応用できるコツも含まれます。
目次
直貼りフローリングとは
・遮音目的のフローリング
・サイズや形状
必要な道具や金物
・墨付け道具
・加工道具
・張るための道具
・ボンドなど
木質フローリングとの違うポイント
・収まり
・張る方向
・全面にボンドを塗る
・仮並べを行う
・クッションについて
割付けについて
・乱張りについて
・計算方法
ひかりつけや加工について
・張り出し(始め)のひかりつけ
・張り仕舞い(終わり)のひかりつけ
・突き付けについて
張りつけの手順
1・準備段階
2・仮並べ(加工)
3・張り付けの準備
4・ボンドの塗りつけ
5・張り戻し(貼りつけ)
6・張った後の作業
説明用動画
このページの説明用動画です。
文字で伝えにくい部分は、映像で詳しく説明しています。
直貼りフローリングとは
・遮音目的のフローリング
遮音性について
直貼りフローリングは、遮音目的で鉄筋コンクリート建築物の床スラブに使用されます。
歩行音などの衝撃を和らげる効果があります。
※床の遮音等級はLで表され、低い数値の方が遮音性能が高いことを示します。
マンションの管理規約での指定
マンションでは上下階の騒音対策のために管理規約によって各室の床の遮音性能を指定している場合があります。
・サイズや形状
直貼りフローリングはメーカーによってさまざまな形状のものがあります。
フローリング裏側にクッション材が接着されており、12㎜程に仕上がる厚みです。
今回の記事でご紹介する張り方の解説は、大工がよく扱うメーカーで比較的採用されているサイズ(約900㎜×約145㎜)で行います。
必要な道具や金物
・墨付け道具
レーザー墨出し機
鉄筋コンクリート造の造作では壁の精度が悪いため、中心部分に出す通り墨から全ての寸法を追い出します。
そのような作業ではレーザー墨出し機が便利です。
コンクリート用カルコ付き墨壺
直貼りフローリングを張る場合、コンクリート床への墨を打ちが必要になります。
コンクリートに墨糸を固定するためにはコンクリート用のカルコ(針)が必要です。
鉄筆(千枚通し)
暗い色のフローリングに墨をつける場合、鉛筆での墨では見にくいこともあります。
鉛筆の墨が見にくい場合には鉄筆で傷をつける方法があります。
・加工道具
丸ノコ
大工が直貼りフローリングを加工する場合は丸ノコで行います。
直角定規
フローリングの長さをカットするときにあると便利です。
・張るための道具
ゴムハンマー
直貼りフローリングを張る場合ゴムハンマーがあると便利です。
ゴムのグリップを利用してフローリング表面を叩いて調整します。
カッターナイフ
遮音フロアーの裏側にはクッション(スポンジ)が付いています。
クッションは部分的に除去する必要がありカッターナイフが必要です。
また、刃を逆さにして使用することで上記した鉄筆の代わりにもなります。
・ボンドなど
直貼りフロアー用ボンド(ハケベラ付き)
直貼りフローリング専用の缶に入ったウレタンボンドがあります。
一般的なウレタンボンドと比べ柔らかいのが特徴です。
ボンドを広く延ばすためのハケベラが付属されています。
養生用テープ
養生テープは張った後に行う養生の他に、フローリング張り作業中の仮固定で使用します。
木質フローリングと違うポイント
・収まり
直貼りフローリングは、釘で固定できないので壁面に全て突き付ける必要があります。
またこの仕様の場合、一般的に壁と床の見切りには薄いソフト幅木(3㎜程)を使用します。
・作業の方向
直貼りフローリングは基本的に下地部分に立って奥壁に押しあてるような方向で張ります。
張った部分はボンドが固まるまではズレやすく力が入りません。
・全面にボンドを塗る
直貼りフローリングはボンド止めなので前面にボンドを塗ります。
ボンドは一枚ずつ塗ることができないため、一度に一定の広さに塗り広げて貼り付けます。
ボンドを塗る広さは作業しやすい1スパン60cmほどが目安で、ボンド墨を打って次のスパンにはみ出さないように塗り止めます。
・仮並べを行う
ボンドは一度着くと除去しにくいウレタンボンドなので、塗り広げた部分で測りつけができません。
ボンドを塗る範囲を設定し、仮並べを行って貼り付ける全て部材を加工(準備)します。
・クッションについて
クッション性のある直貼りフローリングを敷居や框などや壁際部分に突き付けると床鳴りを起こします。
突き付け部分はクッションの代わりにクッション厚みのパッキンを入れて固定します。
割付けについて
・乱張りについて
直貼りフローリングは基本的に乱張りで貼り付けます。
乱張り(割付けを行わない方法)を行うでも一定の法則を決めているとスムーズです。
・計算方法
直貼りフローリングの割付けも基本的には一般の木質フローリングと同じで際に小さい部材が来ないように割り付けます。
直貼りフローリングは計算しにくい寸法なので実際に並べて確認するのがおススメです。
ひかりつけや加工について
直貼りフローリングは全て突きつける必要があるため特殊なひかりつけを行います。
・張り出し(始め)のひかりつけ
2枚目の後ろまでの寸法は1枚目幅(加工したい幅)+フローリング幅なので、張り出し墨(一枚目の後ろ)にフローリングの前を合わせてフローリング幅の墨をつけると張り出し部材になります。
細かい欠き取りなどは二度当てを行うと簡単です。
・張り仕舞い(終わり)のひかりつけ
張り仕舞のひかりつけも張り出しの場合と同様です。
最終の1枚手前にはめてフローリング幅の墨をつけことで出すことができます。
・加工について
加工は丸ノコを使用してフリーカットで行います。
壁面の突き付け部分は1㎜以内の精度であれば問題ありません。
・突き付けについて
突き付けを行う場合は一般の木質フローリングと同様にサンドペーパーなどで削りつけます。
張りつけの手順
1・準備段階
墨出しなど
通り墨の確認を行って割付けを行います。
パッキンの用意
クッション部分のパッキンはフローリングに付属されています。
30㎜程に引き割ります。
ボンドの攪拌
ボンドは蓋を開ける前にしっかりと攪拌します。
2・仮並べ(加工)
ボンドの範囲を設定し、仮並べを行いながら部材加工を行います。
専門の方はボンドの扱いに慣れているためかなりのスペースの部材を仮並べで用意しています。
3・張り付けの準備
部材を避ける
仮並べした部材を間違えずに戻せるように避けます。
ボンド墨から50cmほど離れた場所に置くとスムーズに張れます。
生材(加工していない材)は一か所に積み上げます。
清掃
ボンドはホコリがあると接着力が低下するので丁寧に清掃を行います。
4・ボンドの塗りつけ
ボンド塗り
・適量垂らす
缶のボンドは細かい塗り付けができないので垂らし入れます。
出しすぎたボンドは扱いにくいので適量で止める必要があります。
・際や角にボンドを塗る
ボンドはハケベラで延ばします。
角や際が塗りにくいので先に丁寧に塗り広げます。
・ボンドの塊を動かす
S字を書くようにハケベラを動かすと、ボンドの塊が動きます。
塗れてない部分を塗りながらボンドを動かして行きます。
パッキンの設置
30㎜に引き割ったパッキンはボンドを塗るときに同時に入れます。
パッキンの長さを手で折って調整しながら、ボンドが塗れた壁際に置いていきます。
パッキンの上に周辺のボンドをハケベラで拾って乗せます。
缶の扱い
ボンドの缶やハケベラにはボンドが付着しているので、誤って触れないように離れたところに移動させます。
フローリングの梱包の段ポールを60cm角に切って使用するとハケベラと缶を一度に運ぶのにちょうどいいのでおススメです。
5・張り戻し(貼りつけ)
クッションの除去
張り戻す際にパッキンを設置した部分のクッションを除去します。
カッターナイフで切り込みを入れてめくります。
柄の確認
近年フローリングは柄の強いもの(節などの柄)が流行りです。
直貼りフローリングは特に一つの梱包に同じような柄が入っていることが多いので気にしながら戻していきます。
張り終わり(壁際)について
張り仕舞い(張り終わり)の張り戻しは一枚ずつ入れると最後の一枚でサネが引っかかるため入りません。
最後の一列は壁に斜めにひっかけた状態で横サネを差し込んで一度に入れる必要があります。
6・張った後の作業
ボンドが固まる前の仮固定
ボンドが固まるまでの仮固定は、フローリング表面に養生テープを貼って隙間が広がらないように仮固定します。
微調整
張り終わりにフローリングの隙間などをチェックします。
浮き上がり防止
框際など高さが重要な部分はボンドが固まるまで重しを乗せて浮き上がりを防止します。
最後に
いかがでしたか?
木質フローリングと扱い方が違うので敬遠されがちな直貼りフローリングですが、慣れれば簡単に張ることができます。
このひかりつけの方法は木質フローリングの突き付けなどにももちろん使える方法なのでぜひ利用してください。