大工に必要な住宅知識まとめ【資格不要は嘘!】プロが解説
今回は大工に必要な知識や資格についてプロの大工が解説します。
一般的に大工に資格は必要ないとされていますがそんなことはありません。
住宅は性能や品質だけではなく、様々な法律や家計(予算)にも複雑に関わる建物ですので知らずに扱うと簡単にトラブルに繋がってしまいます。
お客さんは大工を住宅の専門家だと信じて依頼していますので、知識は技術以上に必要になることがあります。
目次
大工に直接関係する知識
・建築に関する知識
・施工管理に関する知識
・木工に関する技術
建築に関わる重要な知識
・不動産知識
・マンションに関する知識
・登記に関する知識
・予算や税に関する知識
・建築設備に関する知識
継続して経営を行うための知識
・経営に関する知識
・WEB・SNS知識
大工に直接関係する知識
大工が専門とする仕事に関する知識を資格別にまとめました。
・建築に関する知識
設計図をもとに実際に施工するのは大工です。
実際の現場では設計ミスも良く起きますので、大工が補完できないとお客さんに迷惑が掛かります。
建築知識の専門家資格は建築士です。
・施工管理に関する知識
施工管理は元請け会社が引き受けた建築工事を完成させるために確認や発注、段取り、品質管理などを行うことを言います。
小規模の建築(リフォームなど)では本来元請けの現場監督や社長が行う施工管理を、実質的に大工が行う場合が多くなっています。
この知識の専門家知識は施工管理技士で、施工内容ごとに種類が別れています。
職人に必要な知識(建築請負契約)についてまとめたページはこちら
・木工に関する技術
大工工事は作りたいものを作る仕事ではなく、お客さんが希望する性能の家を作るのが大工仕事です。
木工は時間をかけることや失敗を許されていれば誰でも作れるものです。
プロとしてお客さんの要望をかなえるためには加工精度や加工スピード、間違えない経験などが必要になります。
一定の大工技能を証明するために建築大工技能士という資格があります。
建築に関わる重要な知識
・不動産知識
建築物は不動産なので、大工は不動産を作る仕事でもあります。
住宅は財産でもあり、お金に換えることができる価値があるものです。
・大工は家を作ることができますが売ることができません。
・不動産業は建築の知識がないままに家を売っています。
・建築士は不動産価値(値段や将来利用)の知識は持っていません。
実際に住宅を作る(施工費を知る)大工は建築士や不動産業の知らないことについて補完する必要があります。
不動産取引を行う専門家資格が宅地建物取引士です。
・マンションに関する知識
マンションは共有されている部分と個人所有されている部分に分かれています。
共有されている部分の工事を依頼されて行ってしまった場合、多額の損害賠償責任を負うことがあります。
お客さんの立場で「できますか?」と聞く場合には「物理的に可能か?」と「法的に可能か?」という両方の意味を含みますので、プロとして「できます」と答えることに大きな責任がかかります。
トラブルを避けるためもマンションのリフォームを行う場合にはマンション知識が必要です。
マンションの専門家資格はマンション管理士や管理業務主任者というものがあります。
・登記に関する知識
住宅でも、購入や売却などで登記を行う必要があります。
大工が登記を行う必要はないと思いますが、増築なども本来登記を行う必要がありますので、登記についての知識は必要になります。
登記を行う専門家は司法書士です。
・予算や税に関する知識
住宅購入やメンテナンスは一般の方が最も大きなお金を使うイベントの1つに数えられています。
住宅は長期間生活を行う場所として使用することもあり、長期的な家族の予定や家計に大きく影響します。
工事費について最も詳しいのは大工なので、お客さんの予定や予算にあわせた提案を行う必要があります。
一般の方のための予算計画の専門家がファイナンシャルプランナーと呼ばれ、国家資格や民間資格があります。
FP(ファイナンシャルプランナー)の住宅取得資金の考え方についてまとめたページはこちら
・建築設備に関する知識
設備関係知識
建築には電気、水道、ガスなどの建築設備が必要です。
それぞれに使用や制限があり大工工事と関わる部分もたくさんあります。
施工効率を簡単に上げるためには施工順序の計画が大切ですので、大工はそれぞれの設備の特徴を理解して施工を行う必要があります。
住宅設備の専門家資格は第二種電気工事士や給水装置工事主任技術者、ガス可とう管接続工事監督者などがあります。
防水知識
建築物の外壁は雨からの防水が必要です。
屋根は瓦や板金、ベランダは防水、外壁は左官やサイディングの専門業者がいます。
防水は専門の知識が必要ですが防水工事の下地は大工が施工します。
業者間で情報を共有して協力する必要があります。
継続して経営を行うための知識
・経営に関する知識
大工が工事を請け負った家もいつかはメンテナンスが必要になります。
その家のことを最も詳しく知るのは家を建てた大工です。
大工職人はほとんどが個人事業主ですので、健全な利益を出しながら継続的な経営を行って安心し依頼できる状態を保つ必要があります。
・WEB・SNS知識
下請け工事は継続的に利益が出せる事業とは言えません。
下請けでいくら腕を認められていても一般の方に認知されていません。
独立してすぐにお客さんから直接依頼されることは難しいので独立前に宣伝を行う必要があります。
近年WEBやSNSなど無料で宣伝できるツールもたくさんありますが、宣伝効果を得るためにはツールについて深く知る必要があります。
最後に
いかがでしたでしょうか?
住宅に関わるお客さんの要望は多様なので幅広い知識が求められます。
技術修得と共に関連知識についても取り組んでもらえたらと思います。