【大工用】クレーン活用術(手信号や段取り)建前で活躍する近道
今回は、効率よく建て方作業を行うために重要になるクレーンについてまとめました。
みなさんはクレーンを思い通りに動かせていますか?
大工さんが一生懸命材料を引っ張っているのを見かけることがあると思います。
クレーンを思い通りに操作できると、手作業で行う何倍も組み立て効率が上がります。
また、クレーンには得意な動きと不得意な動きがあり、特徴を理解することで建前全体のスピードが上げることも可能です。
組み立てスキルとは別のスキルなので、知っているだけですぐに使えます。
建前で活躍して認められたい方はぜひ押さえておいてほしい知識です。
目次
クレーンの特徴について
特長1・非常に危険
特長2・非常に便利
特長3・限界(苦手な部分)がある
クレーンの構造(動き)について
1・竿の左右旋回
2・竿起こしと竿倒し
3・竿の伸縮
4・フックの巻き上げと巻き下げ
クレーンの手信号について
・手信号の注意点
・手信号の方法
吊り荷の操作について
・吊り荷の上げ方(扱い方)
・直下まで材移動
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記事の作成者
深田健太朗 京都府出身 1985年生
一級大工技能士や二級建築士、宅建士など住宅に関連する国家資格を5つ持つ大工です。
人生で最も高価な買い物である住宅に関わることに魅力を感じて大工職を志しました。
大工職人減少は日本在住の全ての方に関わる重大な問題だと考え大工育成のための教科書作りや無料講習を行っています。
説明用動画
※動画
このページの説明用動画です。
文字で伝えにくい部分は、映像で詳しく説明しています。
クレーンの特徴について
まずは建て方の効率と安全のために重要になるクレーンの3つの特徴についてまとめました。
特長1・非常に危険
クレーンは近く作業するだけでも非常に危険です。
長く大工をしていると危険なことを忘れがちになりますが、重い吊荷を動かす重機であるクレーンの近くで作業を行う場合は常に危険が伴います。
クレーンの事故例
クレーンの危険を把握するためにクレーンの事故についてご紹介します。
・吊り荷の落下事故
吊荷の落下事故は比較的頻繁に起こりますので吊り荷の下には絶対に入らないようにします。
・クレーンの転倒事故
クレーン本体の転倒事故はニュースでたまに取り上げられていますが、巻き込まれると高い確率で死亡事故になりますので、常に逃げられるように心の準備が必要です。
・吊り荷の接触による転落事故
吊荷に押される(ひっかけられる)だけでも桁梁の上であれば落下事故につながります。
吊荷の動きを知る
組み立て時には吊り荷の動きに注意が必要です。
吊荷は揺れるとなかなか止まりません。
また、木材はシーソー状態で傾けるため保持できなくなった場合の反動も大きくなります。
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特長2・非常に便利
クレーンは非常に便利でもあります。
手作業が減る
建築は古くから行われており当然クレーンがなかった時代でも建て方は行われていました。
実際にクレーンを使用せずに建て方を行うと材料の搬入だけでも必要性を痛感します。
縦方向が早い
クレーンは人力で苦労する縦方向に材料を吊り上げる動き(巻き取り)が得意です。
オペレーターさんからも確認しやすいため効率よく作業が行えます。
特長3・限界(苦手な部分)がある
クレーンは便利ですが限界(苦手な部分)があります。
一台しかない
一般の建て方で使用するクレーンは一台です。
吊り上げ作業が複数重なると待ち時間ができます。
順序良くクレーンを利用できるように段取りを行う必要があります。
横移動のスピード
クレーンで吊り荷を横に移動する場合には竿を大きく動かす必要があり、同時に高さ調整を行っています。
もちろん安全第一なので無理をすることはできませんので、横移動は縦移動と比べて遅くなります。
積み荷の位置を間違えると行き帰りの往復分で大きな時間のロスになります。
オペさんとの距離
クレーンは構造上、操作と作業(吊り荷)に距離ができます。
近年の木造住宅では床合板を張るため、2階床部分に置かれている材料についてはオペさんには全く見えていません。
また、クレーンはエンジンをかけているため、よほど大きな声を出さないと言葉で伝えることもできません。
そのため作業者は手信号などを使って誘導する必要があります。
クレーンの構造(動き)について
クレーンに指示を出すためにクレーンの構造(4つ動き)についてご紹介します。
1・竿の左右旋回
2・竿起こしと竿倒し
竿を上げるとフックがクレーン側に移動しフックがあがります。
逆に竿を下げるとフックが遠くに移動しフックが下がります。
3・竿の伸縮
クレーンの竿は長さが伸縮します。
住宅建築の場合、竿起こしや竿倒しの代わりに竿を伸縮させて距離方向を移動させることがあります。
4・フックの巻き上げと巻き下げ
そして最後もう一つがロックの巻き上げと
魔理沙でシンプルに強い家を上げたり
下げたりするということです
クレーンの手信号について
それではクレーンの手信号についてご紹介していきます。
・手信号の注意点
間違った手信号は事故につながるためいくつか注意点があります。
注意点1・指示は一人で行う
たくさんの方が手信号を送るとオペレーターさんが混乱しますので、手信号は一人で行います。
指示を行う場合には周りに「僕が指示を行います」と宣言することが必要です。
注意点2・周りにも伝える
手信号を送る場合には周りの大工さんに、どのような指示を送っているかがわかるように伝えます。
注意点3・手信号の打ち合わせ
手信号は間違えて伝わると事故に直結しますので、作業前にオペレーターさんと手信号の確認を行います。
・手信号の方法
それでは手信号の方法をご紹介します。
木造住宅の建て方作業に来てくれるオペレーターさんは大工さんの手信号に慣れているので、鳶さんが行う本格的な手信号でなくてもある程度伝わります。
しかし、やはり正確に伝わる方が組み立て作業は何倍も楽になります。
ストップ!(とまれ)
ストップの指示はクレーンの操作の中で最も重要なので、普段支持を行わない方も覚えてほしい手信号です。
特に危険な場合は手信号と同時に「ストップ!」と叫びます。
止まれば事故も最小限に収まるので、人の命を救うつもりで叫んでください。
材料支持(指示者の宣言)
オペレーターさんに手を振って気づいてもらったら吊りたい材料を指差しして伝えます。
材料を吊ってほしい場合は、まず「自分が信号を送ります」ということを伝えなければなりません。
巻き下げ(スライ)
体の正面で行うとオペレーターさんから見にくくなります。
オペレーターさん目線で行うことを心がけてください。
巻き上げ
左右旋回
微動(少し移動)
少しだけ移動したい場合には小指を立てた状態で同様の動きを行います。
人差し指でも伝わりますが本来は小指で行うそうです。
竿起こしと倒し
竿起こしはグッドマーク(親指を上げる)状態で突き上げるように動かします。
竿倒しは逆にバッドマークで行います。
※竿倒し時には同時に吊り荷が下がるため、平行移動するためには巻き上げが必要です。
玉掛けについて
※画像
クレーンで材料を吊り上げる際に材料に帯をかける作業を玉掛けと言います。
玉掛けはかける際も外す際も資格が必要です。
建て方を行う方は必要になってくる資格なので取得をおススメします。
※作成者は玉掛け資格を持っていませんが、今後規制が強まることが予想されます。
吊り荷の操作について
※画像
次は吊り荷の操作方法についてご紹介します。
・吊り荷の上げ方(扱い方)
中心付近を吊る
建て方の場合には仕口形状の関係上、シーソー状態で吊り上げて作業を行います。
基本的には平行(登り梁は勾配)にバランスがとれるように吊り上げます。
解除後の操作
クランプを使用する場合にはクランプ解除用の紐を掴んで空荷のフックを操作します。
次に吊り上げる材料の方向に解除紐が向いていないと操作が行えません。
吊り荷は手渡しする
吊り荷は床部分から吊り上げるため手を離すと非常に危険です。
また、長い材料の場合には先に組んだ桁に引っかかる場合があります。
吊り上げる場合には吊り荷の片方を掴んで操作して、組み立てを行う大工さんに吊り荷の逆端を手渡しします。
※番手(向き)に注意します。
組み立て時も離さない
組み立て時は特に届く高さの吊り荷を離すと危険です。
足場の悪い桁上では反動(振り子状態)で近寄ってくる吊り荷をよけきれません。
もちろん持つにも限界がありますので、どうしても放す場合には周りに声をかけます。
下で作業を行っている方もこのような事態を想定して気を付けて作業を行います。
・直下まで材移動
クレーンは直情への吊り上げは非常に速いですが横方向への平行移動には時間がかかります。
建物の外から吊り上げる場合は足場も邪魔になり運ぶ時も戻るときも待ち時間が発生します。
そのため桁梁の組み立てでは時間のロスをなくすために基本的にクレーンの上下動だけを利用します。
桁梁は人力で運べない重さではないため可能な限り組み立て部直下まで運びます。
クレーンは一台しかないため軽い材は脚立で組み立てます。
最後に
いかがでしたでしょうか?
手信号や特徴を理解した材料の段取りは建て方スピードに大きく貢献するため簡単に活躍の機会が増えるはずです。
クレーンは便利ですが危険なため安全に心がけて作業を行ってください。