【大工になる方法】定義の整理と効率的な方法
今回は大工になる方法についてプロの大工がまとめました。
大工には名称独占資格がありませんので「大工です」と言ったら大工ということになります。
しかし、自称大工では仕事の依頼は来ませんし、なによりお客さんに迷惑をかけてしまいます。
なので、実際には周りのプロから認められた時に初めて大工となります。
大工にもいろいろな形態が存在するので、一度大工の定義を整理してから「一人前の大工」と周りから呼ばれるようになるための方法をご紹介します。
目次
大工の定義
・プロに依頼される存在
・フリーランス(一人親方)
・ダメ大工(よくない例)
プロの大工に必要なスキル
・プロレベルのスキル
・一定の住宅知識
・社会常識やコミュニケーション
作業スキル修得の方法
・就職(従業員大工)
・職業訓練校
フリーランスとしてのスキル修得
・弟子入り
・二度以上の弟子入り
知識習得の方法
・読書や検索
・資格取得
社会常識の修得
・社会経験
・資格やSNS
大工の定義
大工さんによっては、周りから見てすごく腕のいい大工さんでも「自分はまだまだ半人前だ」という方もいるくらい一人前の大工の定義は様々です。
・プロに依頼される存在
大工の定義で最も重要なことはプロに認められて依頼されることです。
下請けで利益が出せる技術や、応援に呼ばれる周りの大工からの信頼がある大工が一人前の大工と呼ばれます。
※お客さんから直接依頼されている大工さんの中には、プロから依頼されないレベルの人も多く見られます。
・フリーランス(一人親方)
大工は同じ作業のみを行う作業員ではありません。
そして、大工は棟梁(現場責任者)という現場を統括する立場となる職業です。
大工が扱う建築物は様々な構造や仕様があり、一つでもできないと認められないことがあります。
一人前の大工と認められるためにはたくさんの会社(仕様)で経験を積み、できない作業を減らす必要があります。
※従業員大工は会社の仕様のみを行える作業員として育成が行われるため、独立時に修行のやり直しが必要になります。
・ダメ大工(よくない例)
ダメ大工とは仕事ができない大工ではありません。
良くない大工の例をまとめてみました。
できないことを「できます」とこたえる大工
工事には、物理的、法的、予算的に不可能な場合があります。
不可能なことを理解できない、もしくは説明できない大工はお客さんや会社に大きな損を与えますので敬遠されます。
自分の利益だけを考える大工
嘘をついたり、手を抜いたりする性格の悪い大工です。
根本的にお客さんのことを考えていないため大きな失敗や迷惑をかけます。
このような大工さんは同業の大工さんからも嫌われます。
自分ができると勘違いしている大工
大工は資格がないため比較が難しく井の中の蛙になりやすい職業です。
周りが見えていないため新しいことの修得が苦手で進歩しない割に、出る杭を打ちに来ます。
このような大工はいうことを聞かないため依頼する会社から嫌われます。
プロの大工に必要なスキル
大工になるために一般的に必要なスキルをまとめました。
・プロレベルのスキル
大工にはプロレベル(プロから依頼されるレベル)の建築技術が必要です。
無垢材の加工や組み立てスキルはもちろん、新建材やプレカットを用いた新築工事スキル、リフォームでは解体スキルや木材以外の材料を扱うスキルが必要です。
・一定の住宅知識
大工は暮らしに大きく関わる住宅を扱います。
現場には建築士や現場監督、他業種業者なども出入りしますが、ほぼ全ての工事に関わるのが大工です。
作ったものが本当にお客さんのためになるように、大工は住宅に関わる大工技術以外の知識も身に着けておく必要があります。
※工事によっては大工が一生懸命作った家も、予算や間取りを間違えると5年後には失敗だったと言われることがあります。
・社会常識やコミュニケーション
大工が工事を行う住宅はお客さんが住むプライベートな空間です。
予算設計なども把握して関わる必要があるため絶大な信用が必要になります。
また、フリーランスでもある大工は、営業も行う必要があるため社会常識やコミュニケーション力が不可欠です。
作業スキル修得の方法
作業スキルを身に着けるための方法をまとめました。
・就職(従業員大工)
近年では大工人口の減少に伴い、自社大工と称して自社で大工を育成する会社も多くなりました。
大工の育成を行う企業は素晴らしいと思いますが、従業員大工は生涯雇用のサラリーマンとなります。
上記したように、従業員大工は一般の大工スキルを知ることができないため、定義した「プロから依頼される大工」になることが目的であれば遠回りになります。
・職業訓練校
職業訓練校は一定の大工スキルを身に着けることができる学校です。
主に鉋や鑿、墨付けなどを学びます。
鉋や鑿の扱いを練習したい方にはいい環境ですが、実務を経験できない分近道とは言えません。
大工は作りたいものを作る仕事ではなく、頼まれたものを作る仕事ですので、大工を始める前に通うよりは、鉋や鑿が必要になった場合や技能五輪などの練習環境が必要になった場合などに通う方が効率的だと思います。
※学校で習ったことが正しいという固定観念から、人付き合いやスキルの修得に失敗するケースもみられます。
フリーランスとしてのスキル修得
・弟子入り
最も古くから行われている大工になる方法です。
近年では弟子入りの形態も様々ですが、根本的には弟子入りは雇用ではありません。
一人のフリーランスとしてフリーランスの先輩(親方)に弟子入りしている状態です。
親方自体も請負契約によって仕事を請け負っているので、作ったことによって収入が発生します。
弟子入りしたての見習いは作るどころか親方の時間を取り教えてもらい失敗の責任も親方に負担してもらいます。
そのような状況で実際に実務を経験させてもらい、親方と同様の仕事ができるようになったら独立します。
・二度以上の弟子入り
近年では大工の作業が複雑化しています。
一人の親方への弟子入りでは一人前と認めてもらえないことがあります。
弟子入りは一度と決まっているわけではありませんので、独立後でも自分の知らない技術を持っている大工さんがいたら弟子入りしてみましょう。
二度の弟子入りによって一つの作業へのアプローチが増えるので、独自の画期的な工法を見つけることにもつながります。
知識習得の方法
住宅大工は住宅に関する知識を持つことが必要です。
・読書や検索
昔から行われているのは本で情報を得る方法です。
近年ではネットの普及で良質な情報が簡単に得られますので活用してください。
・資格取得
住宅関連知識を最も確実に得る方法は資格勉強です。
資格取得を目標にすることで、強制的に情報を詰め込むため自分では気が付かなかった分野の視野が広げられます。
資格は簡単に知識を証明できるため信用を得ることにもつながります。
社会常識の修得
親方となる世代の一線で活躍されている大工さんは、社会経験や自宅の購入などで社会常識に詳しい方が多いのですが、若くして住宅知識を得たい場合の方法をまとめました。
・社会経験
お客さんに建築業界の常識は通用しません。
社会常識とはお客さん層の常識で、社会常識を得るためには建築業界を外から見る必要があります。
そのためには建築業界以外の人と交流しリサーチする必要があります。
・資格やSNS
社会常識を知るためにも資格取得は有効です。
不動産やFPなどは建築業界と建築物の扱いが違います。
また、SNSなどで発信することで一般の人の感覚を知ることができます。
最後に
いかがでしたでしょうか?
大工は幅が広いだけに様々な形態、様々な評価がありますが、お客さんが求められることが理想だということは、どんな仕事でも同じです。
良い大工はお客さんに満足してもらうために日々努力する。
結局大工はいつまでも一人前になれない仕事なのかもしれません。