石膏ボードや断熱材を使用する目的【大工用】

石膏ボードや断熱材を使用する目的

石膏ボードとグラスウールは様々な目的で使用します。
設計図に示されている目的を果たせていないと欠陥住宅になりますので、設計意図を理解して意図に沿った施工が求められます。

目次

説明用動画

設計図に含まれる情報
・会社や設計士による仕様
・お客さんの要望
・法規や条例
・ローンや補助金

それぞれの性能を使用する目的
・防火性能
・断熱性能
・仕上げ材の下地
・構造強度
・遮音性能

防火性能について
・防火に関する制限
・準耐火構造
・火災保険料への影響

断熱性能について
・断熱性能は壁材の組み合わせ
・高気密高断熱(ZEH補助金)
・フラット35ローン

仕上げ材の下地について
・ボードを使用する主な目的
・住宅の内装制限(防火基準)について
・見た目には最も影響

構造耐力について
・軸組長さ
・ボード耐力壁
・構造と関係する税金や補助金

遮音性能について
・共同住宅の界壁
・遮音壁

性能の組み合わせ
・複数の性能
・少し悩む組み合わせ

最後に

説明用動画

このページの説明用動画です。
文字で伝えにくい部分は、映像で詳しく説明しています。

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設計図に含まれる情報

※画像

建築図面に関係する事項をまとめました。

・会社や設計士による仕様

建築は建設会社の商品でもあり、会社ごとに効率や付加価値のために使用が設定されています。
また自然環境の対応は設計士(建築士)ごとに考えが異なり多様な仕様が存在します。

・お客さんの要望

建築はオーダーメイドの商品でもあるためお客さんの要望なども建築図面に盛り込まれます。

・法規や条例

建築物に関わる法令は登記や消防、衛生などを含めると多岐にわたります。
その中でも建築に深くかかわるのは建築基準法と都市計画法です。
建築は地域によって目的が異なることもあり都道府県が定める条例も非常に深くかかわります。

・ローンや補助金

建築はとても大きな買い物でもあり、税金やローン、保険などにも関わります。

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それぞれの性能を使用する目的

上記した目的を達成させる建築物の建築には多くの性能や特徴が求められます。
今回は石膏ボードと断熱材に関係する性能についてまとめました。

・防火性能

石膏ボードは不燃材料で作られた防火性能のある建材です。

建材には不燃性能によって等級があり、12.5㎜の石膏ボードは準不燃材(10分間の不燃性能が認められた建材)です。

・断熱性能

断熱材は繊維系のタイプや吹付けるタイプがあります。
建築物の断熱材は耐久性や断熱効果を高めるために、壁材と組み合わせて使用します。

断熱リンク

・仕上げ材の下地

石膏ボードはクロス(壁紙)などの仕上げ材の下地としても使用します。

クロス以外にもペンキや塗り壁などの下地でも使用され、仕上げ材によって求める仕上がりや強度が異なります。

・構造強度

石膏ボードは比較的もろく柔らかい建材ですが面材としての強度があるため、耐力壁の構造材として構造計算に含むことができます。

・遮音性能

石膏ボードは比較的比重が高いため遮音性能があります。
逆に断熱材(グラスウール)は比重が低いため吸音性能があり、石膏ボードと合わせて遮音壁にも利用されます。

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防火性能について

石膏ボードの防火性能は利用される機会も多く、大工としても扱う機会も多いため防火基準や構造についてまとめました。

・防火に関する制限

防火基準は火災の際に建築物の中にいる人が安全に避難できることを目的としています。

関連法令

防火に関する制限は建築物の性能を定める建築基準法と、街並みを計画する都市計画法によって定められています。

建築基準法で定められた事項

・大規模建築物

建築物の防火の制限は規模(大きさ)が大きくなる程厳しくなります。
3階建ての木造建築物は実際の床面積に関係なく大規模建築物という扱いになります。

・建築用途

建築物は用途によって防火の制限が異なります。
住宅用途と比べると、宿泊施設や店舗などは不特定多数の人が利用するため制限が厳しくなります。

都市計画法で定められる事項

都市には住宅や商業施設、ゴミ処理施設など様々な用途の建築物が必要になるため、それぞれの建築物がうまく機能させるため、地方自治体によって街並みが計画されています。

都市計画においても特に火災の抑制が求める地域があり指定された地域(防火地域や準防火地域)に建築物を建てる場合には防火の制限を受けます。

・準耐火構造

3階建て木造住宅や防火地域などに建てる木造住宅に求められる防火の制限は準耐火構造と呼ばれます。

※準耐火構造にも4種類あり、木造に使用する構造は「外壁耐火のロ準耐」と呼ばれます。

・火災保険料への影響

建築物の防火性能に応じて火災保険の保険料が安くなることがあるそうです。

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断熱性能について

・断熱性能は壁材の組み合わせ

断熱材は結露対策のために壁材を組み合わせて建築物に使用します。

・高気密高断熱(ZEH補助金)

近年光熱費を抑えるために断熱の性能を高めた建築物(ZEH)が注目されています。
高性能な建築物は建築費も高くなりますが、国も補助金を出すなどZEHを促進する考えのようです。

・フラット35ローン

一般的に住宅の購入には住宅ローンが利用されますが、フラット35と呼ばれる全期間固定金利の住宅ローンがあります。
フラット35を利用するために断熱性能に独自の基準があります。

関連記事↓
各種断熱材の特徴の違いや結露対策【プロ用】

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仕上げ材の下地について

・ボードを使用する主な目的

石膏ボードは防火性能がある建材ですが、主には仕上げ材の下地としての目的で使用します。
安価で癖がなく扱いやすいことからクロスなどの下地に最適です。

・住宅の内装制限(防火基準)について

基本的に住宅では防火の制限(内装制限)はありませんので、防火目的として使用しているわけではありません。

※高層マンションなどには適応されます。

・見た目には最も影響

近年住宅を購入されるお客さんも、ネットの普及により様々な住宅性能について勉強されてから購入されることが多くなりました。
たくさんの性能を備えた住宅でも、クロスのめくれや破れ、壁面の凹凸などは目につきます。
様々な性能を求められた場合でも仕上がりは重要になります。

関連記事↓
石膏ボード張りの種類や目的【大工用】まとめ

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構造耐力について

・軸組長さ

軸組み工法の木造住宅の構造計算では長さの単位(軸組み長さ)で計算を行います。
壁の長さに対して耐力壁の構造によって決められた数値を乗じて強度の値とします。

※例えばスジカイプレートを使用した90㎜×45㎜の筋交いは柱間の2倍(柱間が0.9mの場合軸組み長さは1.8m)になります。

・ボード耐力壁

石膏ボードは柔らかくもろい建材ですが、面材強度を利用して構造耐力として利用することができます。

※構造には決まりがあります。

・構造と関係する税金や補助金

石膏ボードだけに関係があるわけではありませんが、構造耐力は不動産価値や資産価値にも影響します。

減税や補助金について

減税や補助金は国や自治体にとってメリットがある行動を促進するために行われます。
高性能な住宅の建築は不動産価値が高くなりお金も大きく動くなどのメリットによって減税などの対象になります。

減税や補助金の種類

建築の構造はたくさんの減税や補助金に影響します。
・所得税のローン控除
・長期優良住宅精度
・耐震改修の補助金など

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遮音性能について

石膏ボードには遮音性能があるため遮音壁にも利用されます。

・共同住宅の界壁

共同住宅などの部屋同士を分ける壁を界壁と言います。
界壁には防火性能と遮音性能の基準があります。

・遮音壁

遮音壁には遮音効果のある石膏ボードと吸音効果のある断熱材を用いる仕様もあります。
他にも気密や制音などの要素を組み合わせて作られます。

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性能の組み合わせ

・複数の性能

石膏ボードや断熱材は複数の性能を組み合わせて利用する場合があります。
例えば共同住宅の界壁には防火・遮音の性能に加え仕上げの下地として使用します。

・少し悩む組み合わせ

遮音と仕上げ

遮音工事は建築工事の中で最も難しい工事の一つで中途半端な工事では全く効果が得られません。
遮音用建材の中には木下地の精度を狂わせるものもあり、実際の遮音効果も少ないことから大工としては扱いたくない工事の一つです。

※遮音工事は引き請けないことをおススメします。

ファイヤーストップと吹付断熱

吹付断熱は固まると表面がモコモコになるので、面材の突き付けが難しくなります。
屋根裏にファイヤーストップ(準耐火構造)のボードを張る場合には吹付前に断熱に埋まる分のボードを先に張るなどの手間が増えます。

ボード耐力と天井や床

耐力壁は構造材同士を固定するため石膏ボードであっても天井や床の前に施工します。
耐力壁以外の壁ボードは天井や床の後に張るため、施工順序が狂います。

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最後に

いかがでしたでしょうか?
建築には様々な事柄が関係しますので石膏ボードと断熱材をとっても目的が複雑です。
実際に作るのは大工なので目的を理解している必要があります。

大工にはお客さんを満足させるためにも広い視野が必要です。

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